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いよいよ決着?大田区・江東区が対立 東京湾中央防波堤の帰属問題調停へ

7/29(土) 10:20配信

THE PAGE

 休日、多くの人出でにぎわう東京・台場は埋め立てによって造成された土地です。通称、13号埋立地と呼ばれる同エリアは突如として現れた埋立地です。当然ながら元からの住所はなく、誰の所有物でもありません。

 こうした土地は帰属未定地とされます。台場エリアが造成された当初は、その帰属を巡って大田区・江東区・品川区・中央区・港区が帰属を主張していました。これら5区は協議を重ね、東京都自治紛争処理委員の調停もあって1982(昭和57)年に江東区・品川区・港区の3区に帰属が認められることになりました。そうした経緯からお台場エリアは3区に分割されたのです。

 その紛争後も、都は埋め立て事業を継続。現在は、台場エリアから南側に中央防波堤内側埋立地と外側埋立地、さらに南側に新海面処分場が造成されています。

中央防波堤帰属はいまも未定

 中央防波堤内側埋立地には、2020年の東京五輪の競技会場に決定している海の森があります。海の森は、都や森林協会などが頻繁に植樹イベントを実施したことも手伝い、かつて荒涼としていた地が、公園に近い姿になってきています。しかし、海の森を含む中央防波堤の帰属は、現在も未定のままになっています。

 中央防波堤内側埋立地と外側埋立地の帰属を巡っては、大田区と江東区が長年にわたって話し合いを続けてきました。両者は主張を一歩も譲らず、話し合いは平行線をたどりました。そうした状態が長く続いたことから、テレビや新聞などでは、中央防波堤の帰属問題を“領土問題”と囃し立てるようになりました。

 中央防波堤の帰属問題がクローズアップされた後も、大田区と江東区の帰属争いはつづきました。解決のための良案が見出せないまま膠着状態に陥っていた両者の話し合いは、ここにきて風雲急を告げる事態に直面しています。なぜなら、大田区と江東区が都紛争処理委員に調停を申し立て、帰属問題の解決を図ろうとしたからです。

調停成立には議会の承認が必要

 両区の申し立てにより、これから調停委員3名による話し合いが始まります。長らく解決しなかった中央防波堤の帰属は、これで決着するのでしょうか? 都総務局行政部区政課の担当者は、こう話します。

「自治紛争処理委員は調停案を提示し受諾を勧告いたしますが、調停が成立するためには両区が議会に諮って議決を得て、そのうえで受託することになります。両区の区長および区議会は『合理的な調停案が提示されれば受け入れる』と表明していますが、これから調停が始まる段階なので、これで帰属問題が決着するかどうかはコメントできません」。

 自治紛争処理委員の話し合った内容は非公開とされているため、任命された各委員がどのような意見を述べたのかは表に出ないことになっています。また、調停案は90日以内に作成されることになっていますが、「調停の進め方は委員に一任されているので、詳細はコメントできません」(同)とのこと。

 埋め立てをする前に帰属を決めておけば、ここまで問題はこじれなかったようにも思いますが、どうして先に決めなかったのでしょうか?
「埋め立てを機会に関係区で協議が始まりましたが、結論が出ずに今日に至っています」(同)。

 ちなみに、今回の調停で対象になっているのは中央防波堤内側埋立地および外側埋立地のみです。現在も埋め立てが進められている新海面処分場は対象外です。

 区の威信もかかり、区民感情も左右するセンシティブな問題ゆえに、“領土問題”は簡単には解決しません。果たして、両区が納得できるような解決策が導き出されるのでしょうか?

小川裕夫=フリーランスライター

最終更新:8/3(木) 5:59
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