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フリーランス1000万人突破 憧れの「独立」が抱えるリスク「薄くなる社会保障」

7/28(金) 17:30配信

ZUU online

フリーになることにはメリット、デメリット両方あるだろうが、気をつけるべきは労災・健康保険・年金などの社会保障が手薄になるかもしれないことだ。特に仕事ができなくなると収入が途絶え非常に手痛い。この点をカバーする民間保険も近年販売されている。

■正社員労働者とフリーランスの社会保障比較

正社員である労働者が加入する社会保障制度を整理したい。労働者のための保険として、業務上の負傷に対して補償するための労災保険と、失業者の生活保障等に備える雇用保険がある。

その他医療費の窓口負担軽減などに対する保険となる健康保険、介護サービスに対する保険である介護保険(40歳以上の場合)、老後や一定の障害状態にある人、若くして大黒柱を亡くした遺族の保険給付に充当される厚生年金にも加入する。

これがフリーランス(自営業者)となった場合には、どのように変わるのであろうか。

まず労災保険と雇用保険は労働者のための保険になるので、個人事業主は加入できない。

「一人親方」などと呼ばれる建設業の自営業者などは、労災保険に関しては第2種特別加入という形で加入できるが、建設業など労災の危険性が高い業種に限定されている。

一方、健康保険に関しては市町村等の国民健康保険に加入し、年金に関しては国民年金に加入する。会社員であれば給与から雇用保険や健康保険・厚生年金から天引きされているが、国民健康保険料や国民年金保険料に関しては、自分で納付することになる。

■働けなくなったらどうする? 国保と健保の違いとは

まず労災保険に原則加入できないわけだから、業務を遂行して負傷した場合などにその間の収入保障(補償)がなくなるということだ。

給与額の約8割の休業補償給付+休業特別支給金や、医療費を全額補償する療養補償給付が労災給付では代表的であるが、これらの給付無しでは大変痛手になるだろう。

また雇用保険に加入できないため、失業(フリーランスの場合は廃業というべきだが)した際の生活保障(失業給付)などもない。

老後の公的年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の二階建てである。老齢基礎年金は国民年金や厚生年金に10年加入していれば(さらに国民年金の場合は未納が無ければ)、年間約78万円もらえるが、老齢厚生年金は厚生年金の加入期間と給与額に応じて金額が変わってくる。フリーランスとしての活動期間が長くなれば、それだけ老齢厚生年金はもらえないことになる。

国民健康保険と会社員の加入する健康保険の違いは、給与額のおよそ3分の2が支給される傷病手当金や出産手当金の有無である。会社員加入の健康保険ではこれらは必ず支給されるものになるが、市町村の国民健康保険では任意給付の扱いである。実際にはこれらを支給している市町村はない。

傷病手当金は業務外の病気やケガで休業する場合にもらえる手当金である。フリーランスは病気やケガでも、労災給付も傷病手当金も何らもらえないことになる。また出産手当金がもらえないということは、産休や育休中の保障もない。

■フリーランスの手薄い保障に着眼した民間保険も登場

このようなフリーランスの保障の薄さは、社会問題として認識されており改善の動きが出ている。日経新聞(2017年3月14日付)で、失業・出産の際に保険金がもらえるフリーランス向け団体保険創設を政府が提言すると報道されている。

フリーランス協会から会員向けに実際に提供されたのは、フリーランス向けの福利厚生にあたる「ベネフィットプラン」である。この中に、病気やケガの際に受けられる所得補償制度が含まれている引受先の損害保険会社である損保ジャパン日本興亜損保が。2017年7月から提供を始めた。

フリーランスとして独立を考える際には、社会保障がどれだけ薄くなるかをまず認識するのが重要である。紹介したような民間保険での保障も提供されてきたが、保障が薄くなるリスクを把握したうえで、検討する必要があるだろう。(ZUU online編集部)

最終更新:7/28(金) 17:30
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