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上西議員のツイート、海外メディアの幹部が驚いた2つのこと

7/28(金) 7:47配信

ITmedia ビジネスオンライン

 浪速のエリカ様の暴走が“炎上商法”と疑念を向けられ、世間から大きなひんしゅくを買っている。自身のTwitterを通じてサッカーJ1リーグ・浦和レッズのサポーターと激しい火花を散らし合った上西小百合衆院議員のことだ。

【炎上商法にスポーツを利用しないで】

 事の発端は7月15日。浦和レッズが埼玉スタジアムで行われたドイツ・ブンデスリーガのボルシア・ドルトムントとの親善試合で2ー3と逆転負けを喫した後に「浦和酷い負けかた。親善試合は遊びなのかな」と突然ツイート。だがこれが浦和レッズのサポーターを筆頭としたサッカーファンたちの怒りを買い、ネット上で猛烈なバッシングを受けた。

 ところが上西議員は謝罪するどころか、その直後に「何かブーブー言ってる」「(浦和の次の試合は)調べたら次はヤンマースタジアムだった。埼玉スタジアムならゴール裏行くのに」などと逆に浦和サポーターを挑発するような行動に出た。

 さらには「サッカーの応援しているだけのくせに、なんかやった気になってるのムカつく。他人に自分の人生乗っけてんじゃねえよ」と議員らしからぬ荒々しい暴言をまじえ、サポーターを小バカにするようなツイートまで展開。これに怒りを募らせた浦和サポーターと見られる人物から殺害予告が届き、19日には上西議員側が警視庁麹町署に被害届を提出する騒ぎにまで発展した。

 そして22日には自称、浦和ファンの人物が大阪府吹田市にある上西議員の事務所に乱入。その後、上西議員が激怒して「くたばれレッズ」と再びツイートで挑発を重ねて大炎上し、今日に至っている。

 ちなみにこの騒動の最中、上西議員の事務所側は騒動の鎮静化を図ろうと浦和のクラブ側に面会を申し入れていたが、先方からやんわりと断られている。これに対しても上西議員はTwitterで「日本を代表するビッグクラブの対応だとすれば、お粗末と思います」「話をしないというのは怠慢です」「百年構想が五十年で実現するかもしれないビッグクラブなのに、フロントがそれなら百年かかりますね」などと批判のオンパレードを並べていた。

●海外メディアはどう報じたのか

 複数の報道によれば、上西議員の事務所側は今後のスタジアム突撃などの行為は見送り、騒動の幕引きを図る方針だという。今後は浦和レッズ関連の新たなTwitter投稿も控えていくつもりのようだ。だが、この騒動撤退が明らかになった24日の翌日にも上西議員は公設第二秘書を引き連れ、TBSテレビの『ビビット』に生出演。あくまでも一連の騒動は炎上商法ではなかったことを改めて強調し、大ひんしゅくを買って世間を騒がせたことに謝罪の言葉もなく自身のツイートの正当性を延々と訴えていた。

 個人的なことを言わせてもらうと、この騒動は本当に腹立たしくばかばかしい。上西議員のような立場のある人間は、いい意味でも悪い意味でも発信力がある。それを分かっていなかったとしたら、上西議員は政治家として失格だ。しかもこれだけ政治家の失言に対して世の中が神経をとがらせている時期に、このような暴言を口にするなど言語道断。しかも「ムカつく」「人生乗っけてんじゃねえよ」「くたばれ」などと、とても公人とは思えぬような下品極まりない言葉を連発させていた。いますぐバッジを外していただきたい。

 さて、このばかばかしい騒動は海の向こうでも驚きを持って受け止められている。中でも米スポーツ専門局『ESPN』の幹部に上西議員の暴言騒動を伝えると「日本では、こんなクレージーな話題がまかり通っているのか」と目を白黒させ、こう続けた。

 「この騒動には2つの驚きがある。1つは言うまでもなく、議員という選ばれし立場にある人間が公然とスポーツチームの批判を繰り返していた点だ。一般のファンがファンとして批判的なことをツイートすることは程度にもよるが、別に問題はないだろう。だが、それが議員となれば許されるべきことではない。

 米国では国民がスポーツに対してリスペクトする向きが強い。その流れに逆らえば、どういう末路を進むことになるか。米国の上院議員がNFLのスーパーボウルで負けたチームや、MLBのワールドシリーズ制覇を逃した球団に突然暴言を吐いたら大変なことになるのは、まともな思考力の持ち主ならば誰だって想像がつく。

 そして、そのチームのファンとバトルを繰り広げれば、有権者への裏切り行為にもつながりかねない。もう議員としてファイヤー(クビ)だろうね」

●もう1つの驚きとは

 では「2つの驚き」のうち、もう1つは何だろう。

 「日本のメディアの姿勢だ。これだけチープな話題を何度も繰り返すことは報道全体の品位を大きく低下させることにつながる。この議員がサッカーのクラブチームに暴言を浴びせ、ファンの反感を買ったところまでは現象面として報道してもいい。だが、この議員がツイートで注目を集めようとしている疑惑が出た時点で、各メディアは一斉に無視するべきだろう。

 この議員を中心にスポットライトを当てて報じ続けていけば彼女にのみ主張の場を与えることになり、反感を覚えるファンの意見はほとんど反映されないので、完全な偏向報道になってしまう。この騒動に関する日本のメディアの報道姿勢は非常に不可解だ」

 筆者も同感だ。今回の騒動によって浦和レッズのサポーターの方々はとても嫌な気持ちになったはず。いや、それ以外のスポーツをこよなく愛する人々もプレー以外の部分において何も生まれることのないバトルを見せ付けられたことできっと虚無感にさいなまれたと思う。

 日本の大手メディアも、ただ面白おかしいからと先々を考えずやみくもに何でも話題を取り上げるのではなく、『ESPN』の幹部が指摘したように、有益な結論に結びつくかどうかを常に念頭に置きながら取捨選択することが必要だ(今後、筆者もこの問題については触れない)。そして、立場のある人間は炎上商法にスポーツを利用してはいけない。利用されて傷つくのはファンであり、当事者の選手たちだからだ。

(臼北信行)