ここから本文です

隣家の問題犬が脱走、わが家の愛犬に噛み付いて死なせる…慰謝料請求はできる?

7/28(金) 9:48配信

弁護士ドットコム

隣家の飼い犬に噛まれ、17年間、我が子のように可愛がった愛犬が死んでしまった方が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を寄せました。相談者によれば、隣家の飼い犬がトラブルを起こしたのは3回目。隣家に対しては再三にわたって「注意はしていたものの、改善はないまま、今回の事がおきました」と言います。

そこで、相談者は「訴えることも考えています。その場合はどうすればいいのでしょうか」「警察や保健所に連絡をいれたら良いのか」と、聞いています。動物問題に詳しい細川敦史弁護士に聞きました。

●刑事事件にはなる?

まず1つ目の質問として、訴えることは可能なのだろうか。

「長年連れ添ってきた愛犬を突然に亡くされたこと、まずはお悔やみ申し上げます。

『訴えることも考えている』とのことですが、警察に相談しても、刑事事件として捜査されるのは難しいと考えます。隣人が故意に犬をけしかけたことを証明できなければ、器物損壊罪(動物傷害罪)は成立しません。

また、犬の管理不十分により人がケガをすれば過失傷害罪(犬種や過去の咬傷事故歴によっては、重過失傷害罪)が成立しうるのですが、過失によって他人のペットを死傷させても処罰の対象となりません」

●損害賠償請求はできる?

次に「警察や保健所に連絡を入れる」ことを相談者は考えているようだが、こうした事故があった場合には通報した方が良いのだろうか。

「最寄りの保健所や動物愛護センターに相談すれば、飼い主に適切な飼い方指導をしてくれるかもしれません。しかしながら、飼い主が自主的に犬を手放さない限り、強制的に連れていくことまではできません。

そうなると、相談者から隣人に対して損害賠償請求をすることが考えられます。犬の飼い主は、相当の注意をもって管理していたことを証明しない限り、損害賠償責任を負います。損害額については、愛犬が亡くなるまでに動物病院でかかった治療費、火葬費用、愛犬を失ったことによる精神的苦痛に対する慰謝料などが考えられます。

これまで再三注意をしてきたのに改善されず、今回が3回目の咬傷事故であることは、慰謝料の増額事由として考慮される可能性はあります。但し、ペット死亡による飼い主の慰謝料について、裁判例では、増額傾向はあるものの、それでも飼い主が思うような金額は認められないのが現状です」

【参考ページ】

「事故でペットを死なせた 慰謝料は増加傾向」

【取材協力弁護士】
細川 敦史(ほそかわ・あつし)弁護士
2001年弁護士登録。交通事故、相続、労働、不動産関連など民事事件全般を取り扱いながら、ペットに関する事件や動物虐待事件を手がける。動物愛護管理法に関する講演やセミナー講師も多数。ペット法学会会員。
事務所名:春名・田中・細川法律事務所
事務所URL:http://www.harunatanaka.lawyers-office.jp/

弁護士ドットコムニュース編集部