ここから本文です

『スパイダーマン』出演のジョン・ファブロー、実は優秀な監督!

7/28(金) 18:08配信

Stereo Sound ONLINE

バイプレイヤーであり監督としても大活躍

 『スパイダーマン:ホームカミング』は、そのタイトルの通り物語の原点に戻って、クモの遺伝子を体に注入された少年ピーター・パーカーが、精神も技も一人前のヒーロー“スパイダーマン”になるべく奮闘するレッスン編。

『スパイダーマン:ホームカミング』ではこんな役

 彼に“補助輪モード”付きのハイテクスーツを与えて鍛えるのは、<アベンジャーズ>の“アイアンマン”ことトニー・スターク。演じるロバート・ダウニーJr.が、相変わらずいい味を出している。

 だが今回の注目は、そのスタークのドジな秘書兼運転手ハッピーを演じているジョン・ファブローだ。

 俳優としての彼は、でっぷりした体つきと愛嬌のある顔、そして若き日にシカゴで学んだスタンダップ・コメディの技を駆使して、数々の作品に出演してきたバイプレイヤー。しかし、そのいっぽうでは、製作者として、監督として華々しい活躍をしているのだから、人は見かけによらない。


■『スィンガーズ』での初対面は好印象

 初めてファブローに会ったのは、彼が製作・脚本を手がけた『スウィンガーズ』(96年)のプロモーションで来日した時だった。

 主人公は、コメディ俳優になることを目指してニューヨークからハリウッドにやって来たマイク。元カノに心を残してウジウジするマイクと、彼をなぐさめる仲間とのラスベガス旅行を面白おかしく描いたもので、ファブローも主人公の親友役で出演していた。

 そして、超低予算で作られたこの小さな作品が、思わぬヒットとなりにわかに脚光を浴びたのだった。

 とはいえ、当時は主人公を演じた癖のあるイケメンのヴィンス・ヴォーンに女性ファンが殺到。一緒に来日したファブローは、ほとんどオマケのような扱い。かく言う私もイケメン好きの性で、ヴォーン&ファブローの2人を前にしたインタビューでは、ヴォーン中心に質問を繰り出していた。

 が、彼のコメントって、理屈っぽいけど中身がイマイチでつまらない。そこで、そんな親友を横目に、ファブローがにこやかに的確に話を繋いでフォローしていたのを思い出す。

 たとえば、あまりに製作費が少ないので、ケータリングは祖母や母親がせっせとサンドイッチを作って運んでくれたという心温まるエピソードとか、ゲリラ撮影が功を奏してドキュメンタリーのような雰囲気が出せたとか。実のあるコメントでライターとしては多いに助かったのだ。


■えっ、『アイアンマン』を監督したって!?

 しかし、そんなありがたい助けも忘れて、それから数年間、正確に言えば2008年までファブローのことをまったく忘れていた。その間に、彼は『エルフ ~サンタの国からやってきた~』(03年)など4作を監督し、『ディープ・インパクト』(98年)や『デアデビル』(03年)などのヒット作にも出演していたというのに。恩知らずで、すみません! 

 ファブローと再会し、遅ればせながらその存在と才能を認識したのが『アイアンマン』(08年)を彼が監督したと知った時。「え~っと、ジョン・ファブローって、あの『スウィンガーズ』のファブローですか?」って、なんとも間抜けなリアクションだった。

 あのふんわりしたお人好しの雰囲気の彼が、まさか超大作『アイアンマン』を監督するなんて。それも、かなり高いクオリティに仕上げるなんて、不覚にも想像もしなかったのだ。う~ん、男は顔だけじゃないって、わかっちゃいるんだけどねぇ(苦笑)。


■人の心を丁寧に紡ぐ名手

 それ以後も、『アイアンマン2』(10年)や『カウボーイ&エイリアン』(11年)などで会見しているが、ユーモラスで機転の利いたコメントは相変わらずで、好感度はアップするばかり。

 しかも、すごく彼を気に入ったのは、マーベルコミック系のヒーロー映画に名を連ねてメジャー街道まっしぐらかと思えば、そのいっぽうで『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(14年)などを製作から脚本・監督・主演まで手がけていること。

 この作品は、小品ながらバラエティ豊かな食と音楽で観客をワクワクさせつつ、親子の絆でじんわり泣かせる秀作。まるで『スウィンガーズ』の“その後”のようだ。

 そう、莫大な製作費と最先端のテクノロジーで描くハデハデの大作もいいけど、ファブローは丁寧に人の心を紡いで観客を楽しませるという“映画の原点”を忘れてはいないのだ。

 だからこそ、主人公の少年以外はすべてCGで描かれた『ジャングルブック』(16年)も、血の通った作品に仕上がっていたんだろうと思うのは、買いかぶり過ぎか知らん?


『スパイダーマン:ホームカミング』作品情報
監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド/ロバート・ダウニーJr./マイケル・キートン/マリサ・トメイ/ジョン・ファヴロー
原題: Spider-Man: Homecoming
2017年/アメリカ/2時間13分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2017年8月11日(祝・金)全国ロードショー
(c) Marvel Studios 2017. (c) 2017 CTMG. All Rights Reserved.

Stereo Sound ONLINE / 金子裕子

最終更新:7/28(金) 18:08
Stereo Sound ONLINE