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障がいある従業員も重要な「戦力」 1日400人来客する焼肉店の工夫 各分野で能力発揮

7/28(金) 20:00配信

沖縄タイムス

【連載「働く」を考える】第3部 働きやすさ求めて

 ◆焼肉パラダイス キングコング

 「もうすぐ夏休み。子どもたちに人気が出そうな商品はありますか」「デザートとして氷の上にスイカを並べたら、いけると思います」

 NSP(砂川惠治代表)が経営する「焼肉パラダイス キングコング」=沖縄市。慌ただしかったランチタイムが終わって一息ついた午後2時半すぎの勉強会。店長の又吉真樹さん(39)の問いかけに、5人の従業員から新メニューのアイデアが挙がった。

 キングコングの従業員は店長を除く11人のうち5人に知的、身体、精神の障がいがある。障がい者もほかの従業員と同じ給与で、重要な「戦力」として働く。

 「遅刻しないなど、基本的なところがブレないのですごく信頼している」と又吉さん。店は継続して黒字を計上している。

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 きっかけは、代表の砂川さんが経営する別の飲食店で働いていた知的障がい者の存在だった。障がいがあると知らずに採用。失敗も多かったが、無遅刻・無欠勤で、いつも楽しそうに働き、職場の空気を明るく変えてくれた。

 「障がい者に対するイメージが一気に変わり、戦力になると思った。そこから積極的に雇用するようになった」と振り返る。

 発達障がいのある別の従業員は手先が器用で、すし作りを任せようと考えた。当初、しゃり(ご飯)を触るのをいやがったが、いろいろ試して手袋をすることでうまく握れるようになった。今では人気メニューを一手に担う主戦力だ。

 「『この仕事しかできない』と決めつけるのではなく、一緒にチャレンジすることが大切」と砂川さん。

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 キングコングには1日最大約400人が来店する。大量の注文をさばくため、障がい者を含む従業員が働きやすいよう、作業方法をひと工夫している。

 例えば肉や野菜を保存する冷蔵庫にアルファベットや数字を張り、「6番からレタスを取って」など、指示が具体的に分かるようにしている。

 肉を切る担当の発達障がいのある従業員は、作業に没頭しすぎてやりすぎるところがある。そこで、一つの作業を終えるごとに店長に報告して、次の作業に取りかかるようにした。

 週1回約1時間の勉強会はコミュニケーションを図り、情報共有する大切な場となっている。

 経営戦略から、接客方法の確認、個人の目標までざっくばらんに話す。「お客さんが取りにくそうにしていたからこの総菜はスプーンよりトングがいい」など各自が気づいた課題を挙げ、改善につなげている。

 ホール担当の新里大樹さん(29)は事故で記憶に障がいがあるが、徐々にレジを任されるようになった。「店長が一緒になって考えてくれるので働きやすい。勉強会で皆が意見を言い合える環境もいい」と話した。(学芸部・高崎園子)

最終更新:7/29(土) 11:15
沖縄タイムス