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「説明まだ」静岡県内自治体に戸惑い 「核ごみ」地図公表

7/29(土) 7:50配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 国は28日に原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を最終処分できる可能性がある地域を示した「科学的特性マップ」を公表したが、地方自治体への具体的な説明はまだ行っていない。色分けされた地図を受け取っただけの静岡県と市町は、核のごみ処理事業の着実な進展を期待する一方、国に対して丁寧な対話を求めた。

 「原発と関係が薄い市町は原子力の担当部署がなく、扱いに困っている状況なのでは」。静岡市ごみ減量推進課の担当者は戸惑い気味に地図を見つめた。同担当者は過去2回、国が自治体向けに行った最終処分についての説明会に参加したが、「一般ごみでも処分地を決めるのは容易ではなく、核のごみで事業がスムーズに進むとは思えない」と先行きを心配する。

 市域ほぼ全域が「可能性がある地域」に分類された浜松市も担当部局は不明確で、市幹部職員は「庁内の対応体制整備から始め、国の動きを注視していきたい」と話すにとどめた。

 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)が立地する御前崎市は、半世紀にわたって国策として原子力発電に協力してきた。柳沢重夫市長は「核のごみの最終処分は立地地域のみならず、消費地を含めた国民全体で考えていくことが重要」と強調する。

 国の施策の進め方について、川勝平太知事は「マップは何の判断材料にもならない。火山や活断層などがある所を避けるということは、既にみんな知っている」と批判した上で、「最終処分については、国が本当に精査して責任を持って決めないといけない」と訴えた。



 ■「多くの理解関心を」 中電社長

 中部電力の勝野哲社長は28日の定例記者会見で、同日公表された高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する科学的特性マップについて「科学的な地質の特性をそのまま表現したもので、最終処分場として適切であるという確定的なものを示したものではない」との認識を示した。その上で「最終処分の対象となる使用済み燃料を排出する責任者として、地層処分の必要性や考え方を説明させていただきながら、より多くの方に理解、関心をもってほしい」と述べた。

 原子力規制委員会の更田豊志委員長代理が今月、浜岡原発(御前崎市佐倉)を視察したことにも触れ「『安全対策に向け工夫できる余地はまだある』との意見を真摯(しんし)に受け止め、規制委員会の審査にしっかりと対応する」と話した。



 ■「再稼働と並行議論を」 元科技庁原子力局長 興・静大名誉教授

 国が核のごみの最終処分事業で「科学的特性マップ」を公表したことについて、科学技術庁(現文部科学省)で原子力局長を務めた興直孝静岡大名誉教授(73)は「国民理解を得るための第一歩」とした一方で、「検討を進めるにあたっては、再稼働による使用済み核燃料の継続的な増大をどのように考えるのか、同時並行で国民合意が得られるような議論を進める必要がある」と強調する。

 国内には既に多くの使用済み核燃料が存在し、最終処分地選定は喫緊の課題。ただし、今後も原発を動かし続けるか否かで施設の規模は異なる。「東京電力福島第1原発事故の復興と再生の実態を基に、原発の在り方を考えるべき。将来のエネルギー確保の観点も踏まえて原発の位置付けを定め、最終処分地を受け入れようとする地域への感謝の気持ちを尊重する必要がある」と指摘する。

 国は今後、マップを基に各地で対話活動を進める方針。原子力規制委員会に核のごみを最終処分する規制基準の策定を求めた上で、「候補地の選定過程から、積極的な情報公開が重要。国と原子力発電環境整備機構、電力事業者が一体となり、地域社会の理解を得る取り組みを加速させてほしい」と訴えた。

静岡新聞社