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木村翔、敵地中国で世界初挑戦TKO勝ち…デビュー戦1回KO負け、生活費は酒店で稼ぐ

7/29(土) 5:04配信

スポーツ報知

◆プロボクシングWBO世界フライ級(50・8キロ以下)タイトルマッチ12回戦 〇木村翔(11回 TKO)鄒市明●(28日、中国・上海オリエンタルスポーツセンター)

 世界初挑戦のWBO世界フライ級6位・木村翔(28)=青木=が敵地で2008年北京、12年ロンドン五輪ライトフライ級2連覇の王者・鄒市明(ゾウ・シミン、36)=中国=を11回2分28秒TKOで破る番狂わせを演じた。日本選手の海外での世界奪取は、13年8月のWBO世界バンタム級王座の亀田和毅(現協栄)以来となる快挙。木村の戦績は15勝(8KO)1敗2分け。国内ジム所属の男子世界王者は史上最多の13人となった。

 木村が人生最大のチャンスを一発でつかんだ。約4億人が視聴する完全アウェーの中国で五輪の英雄を破り、新王者となった。「後半は相手が疲れていたので前に前に出ようと思った。テクニックのある選手なので下(ボディー)から攻めた」

 試合後、ロープにもたれて号泣した王者に勝負をかけたのは11回2分すぎだ。「相手が嫌がっているのが分かったので、一気にまとめようと思った」。圧力をかけ、得意のボディー攻撃で追い込んだ。TKO勝利までは技巧派の王者に手数で攻められた。「ポイントでは負けていたかな」と覚悟した逆転劇だった。

 デビュー戦1回KO負けからの世界奪取はまれに見る快挙だ。埼玉・本庄北高では1年でボクシングをやめた。卒業後「ヤンチャな生活」を送っている時に「物足りなさ」を感じ、23歳で再開したが「当初は2ラウンド、6分の練習が限界だった」という。大手ジムのような資金力に乏しく、寄付を募って試合にこぎつけた。「スーパースターを相手に、小市民がどこまでやれるか見せてやりたい」。普段は酒店でビールケースを担ぎ、生活費を稼ぐ無印男が、ボクシング史に残る大仕事をやってのけた。

 昨年11月に日本未公認のWBOアジア・パシフィック王座を獲得し、つかんだ世界挑戦でもあった。28歳の誕生日となった試合翌日、20歳の時に子宮がんで他界した母・真由美さん(享年40)の墓前に「亡くなった後でも親孝行したい。今度は世界のベルトを持って墓参りする」と報告。見事に約束を守った。

最終更新:7/30(日) 1:28
スポーツ報知