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【佐藤優コラム】感情で動く政治に危惧を覚える

7/30(日) 12:02配信

スポーツ報知

 安倍内閣に対する支持率が低下しているが、同時に政治が感情で動くようになっていることに危惧を覚える。

 24日に衆議院予算委員会、25日に参議院予算委員会の閉会中審査が行われた。26日の「朝日新聞」は社説で、<いくら口調をやわらかくしても、根拠を示して正面から答えなければ「丁寧な説明」をしたことにはならない。/2日間に及んだ衆参両院の閉会中審査で、加計学園問題をめぐる疑念は晴れなかった。/原因ははっきりしている。/安倍首相や官邸、内閣府など政権側の説明に、記録の裏付けがまるでなかったからだ。>と安倍晋三首相を厳しく批判した。

 しかし、筆者に言わせればこの社説の議論が政治の現実を無視した建前論だ。岩盤規制に穴を開けるには政治の力がいる。獣医学部の新設に関しては、それを事実上不可能にする岩盤のような規制を文部科学省が作り、それを厳格に運用していた。かねてから愛媛県も今治市も獣医学部の設置を望んでいた。この要望に応えようとしたのは加計学園だけだった。安倍首相は友人である加計孝太郎氏の獣医学部設置計画がうまくいけばいいと思っていたであろう。そこでさまざまな働き掛けや駆け引きがあるのは当たり前のことだ。

 ただし、贈収賄などの不正が行われたわけではない。いったい今治市に加計学園獣医学部の新設を認めるように政治家が働き掛けたことのどこに問題があるのか。そもそも具体的な被害者がいるのか。

 今後、安倍首相が丁寧な説明をいくら試みても議論が収束しないと思う。これまで相次いだ閣僚や自民党幹部による失言に対する国民の不満が爆発しているからだ。安倍首相は何を言っても聞いてもらえない状況にある。国民からの根源的な信頼を失ってきている。どんな手を打ってもひとたび失った信頼を回復することは難しい。

 現在、日本を取り巻く環境は厳しさを増している。北朝鮮の核兵器・弾道ミサイル開発やテロ対策など、国として取り組まなくてはならない課題が山積している。感情で政治が動くような状況は危険だ。何とかして歯止めをかけなくてはならない。(作家・元外務省主任分析官)

最終更新:7/30(日) 12:02
スポーツ報知