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牛肉SG 米国 制度見直し要求 経済対話のテーマに

7/29(土) 7:01配信

日本農業新聞

 政府は28日、冷凍牛肉の輸入関税を一時的に引き上げる緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)が8月1日から発動すると発表した。28日に確定した4~6月の輸入数量が、発動基準となる数量を上回ったため。SGの影響を主に受ける米国からは、発動しにくい仕組みにするよう求める声が早くも上がる。だが、SGは国内生産への影響を回避するため国際的に認められた制度だけに、米国の揺さぶりに左右されず、国際ルールを貫くことが求められる。

 SGは世界貿易機関(WTO)のルールに基づく国境措置。日本の牛肉の場合、全世界からと、経済連携協定(EPA)の未締結国からの累計輸入数量の両方が、前年度の四半期ごとの累計輸入数量の117%を超えると発動する。EPAの未締結国が対象となり、38.5%の関税率が50%に引き上がる。

 28日に確定した貿易統計では、4~6月の冷凍牛肉の輸入量は全世界からが8万9253トンで前年同期比117.1%、EPA未締結国からが3万7823トンで同124.8%となり、発動基準を超えた。中国の米国産牛肉の輸入解禁を背景に商社などが買い急ぎ、輸入が急増したとみられる。SGは来年3月末まで発動する。

 SGの影響を主に受けるのが、冷凍牛肉の輸入量で4割近くを占める米国。米国食肉輸出連合会は27日に発表した声明で、「今年の輸入増は日本の肉牛農家に悪影響は与えていない」とし、日本の国内生産への影響とは無関係に、輸入数量だけで発動する仕組みを批判した。米国と競合するオーストラリアに対する日本のSGは、年間で設定された基準数量を上回らない限り発動しない仕組みのため、より発動しにくいとも不満を示し、見直しを迫っている。

 こうした中、麻生太郎副総理兼財務相は28日の閣議後会見で、SGについて「日米経済対話の場等々を活用して議論していくことになると思う」と言及。山本有二農相も閣議後会見で、SG発動を3カ月の輸入実績で判断する現在の制度に対し、「少し長いスパンで考えれば、より良いかなとは思う」と述べた。

 JA全中の奥野長衛会長は同日の会見で、米国との牛肉の生産コストの差は大きいとして「日本の畜産をしっかりと守り、育てていくために、SGは必要だ」と訴えている。政府は、生産現場の声を十分踏まえた慎重な対応が必要になる。

日本農業新聞

最終更新:7/29(土) 9:16
日本農業新聞