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年60日の営業で年収2000万円!ブルーベリー観光農園の“おいしい”仕組み

7/29(土) 15:06配信

ニュースイッチ

<「読学」のススメ>年収1000万円の大企業中間管理職を辞し45歳で起業

 毎日残業続きで、ノルマもきつい。満員電車で他人に押されながら、「いっそ会社を辞めて、田舎で自然に囲まれながら、のんびり農業でもやろうか」などと心の中でつぶやく──。似たような経験がある人は少なくないのではないだろうか。

 でも、現実には農業だって大変な仕事だ。結局、たいした収入が得られない上に、会社員時代とは異なる種類の重労働に「こんなはずじゃなかった」としょげかえることになる。……それもわかっている人が大半だろう。

 だが、『最強の農起業!』(かんき出版)の著者、畔柳茂樹さんは違った。「脱サラでのんびり農業」の生活を満喫しているのだ。同書は、脱サラと起業の経緯、成功した秘訣、そして農業を始めたい人への真摯なメッセージなどが詰め込まれた一冊だ。

 畔柳さんは愛知県岡崎市で観光農園「ブルーベリーファームおかざき」を営む。前職は自動車部品世界最大手デンソーの事業企画課長。2007年に45歳で年収1000万円のサラリーマン生活を捨て、同農園をオープンした。

 約7,500平方メートルの敷地を誇る「ブルーベリーファームおかざき」の年間営業日数は、6月上旬から8月下旬までの10週間、定休日を除けばわずか60日ほどだ。残りの9カ月間の農作業はそれほど多くない。パートの人に手伝ってもらい、畔柳さんは週休5日で働けばよいのだという。

 それだけで、驚くなかれ、デンソー時代の2倍、約2000万円の年収を得ているそうだ。これを「悠々自適」と言わずして何と言おう。

<無人栽培による観光農園が高い生産性の要因>

 畔柳さんは「無人栽培」「観光農園」「IT集客」の三つを成功のポイントに挙げている。この中で、とくに前2者が、高い生産性を実現した大きな要因のようだ。

 デンソーを退職した時に畔柳さんの頭にあったのは、次の三つの要素を満たす農業だった。(1)お客様と交流できる。(2)人と地球にやさしい。(3)目新しく斬新。(1)から、観光農園というアイデアはすぐに導き出された。

 観光農園ならば、イチゴ狩りのようにフルーツを栽培するのがもっとも集客しやすい。どのフルーツにするかを考えた時に、大粒で生で食べてもおいしいブルーベリーとの出会いがあった。

 ただし、ブルーベリーは日本の土壌では育ちにくく、成長に時間がかかるというデメリットが。収穫にも手間と時間がかかる。悩んだ畔柳さんは、準備のために通った農業大学校でのミニトマトの栽培実習でひらめく。「ミニトマト栽培で使われていた水耕栽培(養液栽培)をブルーベリーに応用できないだろうか」。調べたところ、それは可能だった。

 畔柳さんのとった方法はこうだ。排水性や通気性、保水性を備えた人工培地に肥料をブレンドし、コンピュータにセットして日に2回、自動的に液肥を供給。pHや肥料濃度ECは定期的にコンピュータがチェックする。こうして無人栽培が可能になるばかりか、無農薬で、しかも格段に早い成長が実現できる。収穫した実の美味しさも格別だという。

 小粒で房にならずバラバラに実るために手間と時間のかかる収穫作業については、観光農園にしたことで一気に解決。お客さんに、楽しみながら収穫してもらえばいいからだ。

 また雑草の手入れを省くために、畑全体にシートを敷いた。それによって、もう一つメリットが生まれた。ふつう、観光農園で収穫をする場合、どうしても泥だらけになるので、靴は汚れてもいい運動靴が推奨される。

 だが、「ブルーベリーファームおかざき」では、シートがあるので、ハイヒールでもOKなのだ。実際、家族連れがベビーカーを押しながらブルーベリー狩りを楽しむ姿も見られるという。

 「ブルーベリーファームおかざき」は、カジュアルな雰囲気で気持ちのいいおもてなしが受けられるのが大きな魅力になっている。

 これは、畔柳さんが団体客を断っているのも大きい。大型バスで乗り付けるような団体客の中には、マナーがまるでなっていない人たちもいる。団体さんは時間の制約があるため慌ただしく、十分におもてなしができないこともある。
 
 そこでもともと団体行動があまり好きでなかった畔柳さんは、「ブルーベリーファームおかざき」を個人客専用としたのだ。しかも、農園の設備を洗練されたオシャレなものにし、入場料を高めに設定。価格よりもモノやサービスの質を基準に考える客を積極的に受け入れるようにした。

 こうして見ると、畔柳さんの農起業は、実に「うまい仕組み」になっていることがわかる。観光農園で収穫を客に任せることで作業コストがかかるブルーベリー栽培のデメリットをクリア。

 雑草防止にシートを貼ったことでお客さんの利便性に寄与したのも「一石二鳥」だ。こうした「一石X鳥」の仕組みを考えていくのが、小資本で労働コストをかけられない起業や新規事業を成功に導くコツの一つなのだろう。

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最終更新:7/29(土) 15:06
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