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学ぶ権利に「大きな一歩」 補助金停止問題にも光

7/29(土) 6:30配信

カナロコ by 神奈川新聞

【時代の正体取材班=石橋 学】朝鮮学校で学ぶ権利も等しく保障されなければならない-。朝鮮学校を高校無償化から除外した国の教育行政の誤りをただした大阪地裁判決は県内の朝鮮学校生にも光を差し込んだ。「私たちの主張が認められた。大きな一歩になる」。神奈川朝鮮中高級学校3年で在日コリアン4世の梁(リャン)由(ユ)衣(イ)さん(17)はうなずいた。

 同級生30人で県庁を訪れていた。「日本人が日本語や自国の歴史を学ぶように私たちにも民族教育を受ける権利がある」。朝鮮学校の教科書の記述を問題視した県が2016年度から補助金支給を打ち切った問題で、思いを伝えるためだった。「大阪の判決は私たちの人権、教育権を認めてくれた」。朝鮮学校のみ特別扱いする点で、無償化からの除外も補助金停止も根を同じくする差別に違いなかった。

 1週間ほど前の20日夜、梁さんは途方に暮れていた。横浜駅前で街宣活動に初めて立ち、無償化適用と補助金再開を訴えるチラシを配った。多くの人が避けるように通り過ぎ、声を掛けられたと思ったら「金(キム)正(ジョン)恩(ウン)をどう思うの」「日本はいつまで過去のことで責められなきゃいけないの」。父親と同年代のサラリーマンの詰め寄るような物言いに、交わらない対話の果てしなさを思った。

 私学振興課の職員も同じだった。面会した7人の朝高生の話を書き留めると言った。「なかなか分かってもらえないが、県がしていることは差別を意図したものではない」。それでは踏みにじられた心の痛みは誤解にすぎず、理解していない自分たちがいけないということになってしまう。

 だからこそ、と梁さんは思い直す。「行政を監視し、ただす力がある裁判所の判断の意味は大きい。前例となって私たちの力にもなる」。無視されるばかりではないという、ささやかだが小さくない希望。「少ないけれど応援してくれる日本人もいる。声を届けて増やしていけば、知事も考えを変えてくれるはず」