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【大阪】27年ぶり公立V逃した大冠・東山監督、初心の白いユニホームで「こんなに駆けめぐってくれた」

7/30(日) 23:11配信

スポーツ報知

◆全国高校野球選手権大阪大会 ▽決勝 大阪桐蔭10-8大冠(30日・シティ信金スタ)

 公立の星・大冠(おおかんむり)が、春夏初の甲子園にあと一歩で散った。大阪では1990年の渋谷以来となる公立校Vを逃したが、大阪桐蔭を追いつめる攻撃野球を展開。ナインの着る白いユニホームには、東山宏司監督(55)の公立魂が詰まっていた。

 前身の府立島上高出身で就任21年目。現在は部員106人の大所帯だが、就任当初は18人。施設にも恵まれない普通の公立校だった。「強くなってもたたかれる。その繰り返し」。強豪私立に及ばない環境で甲子園を目指したが、激戦区大阪の壁は厚かった。

 2010年頃の夏に私立に敗れた。「気分を変えたいと思った。もう1回、原点に帰る」。小さい頃に憧れた球児は白いユニホーム。「高校野球は純白がいい。一生懸命やっている姿になる」。初心を思い出して全身白に統一した。座右の銘も「初志貫徹」。選手には「公立で甲子園に行きたい。私立に負けるな」と繰り返した。

 今もグラウンドは他部と共用で打撃練習の時間は限られるが、106人全員を必ず打席に立たせ、マンツーマンで指導する。大阪で勝つには打力が必要。午前6時半からの朝練も付き添い、どんなに短い時間でも選手と顔を合わせた。「一人、一人、時間と労力がかかるけど、100人を超える選手との溝を埋めるため。それが僕のやり方」。調子が悪い選手には、より時間を費やした。「入学時から気持ちの強い子が多かった。この学年に懸けていた」。冬場は1日3000スイングにも及ぶ厳しい練習についてきてくれた。

 0―1の3回に3安打で1死満塁の好機をつくると、主将の2番・猪原隆雅捕手(3年)の中前適時打で2点を返して一時は逆転。白いユニホームが跳びはねて喜び、センバツ王者をのみ込んでいく。さらに2点を追加し、この回4連打を含む5安打で4得点。4―5の8回に5失点で突き放されたが、6点を追う土壇場の9回にも5本の集中打で4得点と食い下がった。

 同校初の決勝で最強私立から計13安打8得点。白かった教え子たちが、土で真っ黒になっている。「白いユニホームがこんなに駆けめぐってくれてうれしい。うちの野球をしてくれた。下級生は最後の攻めを目に焼き付けてほしい」。“純白の公立”が確かな足跡を残し、指揮官の目から涙がこぼれた。(浜田 洋平)

最終更新:7/30(日) 23:52
スポーツ報知