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「みすぼらしい4人の少年」ビートルズの散財止め、節税に奔走した会計士

7/30(日) 10:00配信

The Telegraph

【記者:Peter Taylor-Whiffen】
 ビートルズ(The Beatles)の1966年の曲「タックスマン(Taxman)」で、ジョージ・ハリスン(George Harrison)は当時の英政権が富裕層に課した税率95%を非難した。「5%では少な過ぎますか?」「すべてを取り上げはしないことに感謝しなさい」と、ハリスンは嫌味たっぷりに歌った。

 そんな中、税金に関してビートルズが心から感謝していた一人の男性がいた。彼らの収入の帳簿を付けていた会計士のハリー・ピンスカー(Harry Pinsker)氏(87)だ。

 ピンスカー氏は1961~70年の間、ビートルズの財布を管理し、彼らの会社を興し、彼らが家を購入するのを手伝った。「ただのみすぼらしい4人の少年だった」と、ピンスカー氏はビートルズに初めて会ったときのことを振り返る。「彼らのことは聞いたことがなかった。リバプール(Liverpool)の外ではほとんど知られてなかったから。それも変わったがね」

 ロンドン(London)東部ハックニー(Hackney)で生まれたピンスカー氏は、医師か弁護士になるのが夢だった。だが戦争で疎開を余儀なくされ、ユダヤ人差別で志望大学には入れず、病を患ったこともあり、何か月間も学校に通えない時期があった。そこで医学と法学の道を諦め、会計士になったという。

 1947年に学校を卒業したピンスカー氏は、会計事務所「ブライス・ハンマー」のロンドン事務所に入った。そのリバプール事務所のクライアントの一人に、地元で家具店を経営していたハリー・エプスタイン(Harry Epstein)氏がいた。彼の長男が、後のビートルズのマネジャー、ブライアン・エプスタイン(Brian Epstein)氏だ。

 そして1961年、エプスタイン氏がポップグループのマネジメントに乗り出したときに、ピンスカー氏をはじめとするロンドン事務所の会計士らが紹介された。

 ピンスカー氏は、違法にならない程度に機転を利かせたさまざまな手法で節税し、ビートルズの資産を守った。例えば、こんなエピソードがあったという。

「私たちは作曲企業レンマック(Lenmac)を立ち上げた。それは売上高が不労所得として高税率の対象となる投資企業とみなされた。しかし私はそれを商社と同じだと主張した。フィッシュ&チップスの包みとして新聞紙が使われていても、それはまだ新聞紙なら、レノンやマッカートニーの曲だって、いつまでも曲であり、だから勤労所得になると訴えた。所得査定官は納得したよ」

 ピンスカー氏は一方で、「少年たち」に浪費しないよう警告せねばならなかったという。「メディアは彼らをミリオネアだと呼んだ。私はそのミリオンは収入であって資産ではない、税金のために収入の多くを残しておかなければならないと、彼らに分からせる必要があった」

「彼らは不満げだった。だからジョージはタックスマンを書いたんだ。貧しかった少年たちが懸命に働き、大金を稼げるようになったのに、誰かがそれを奪おうとしてたのだから」

 ピンスカー氏は、予想される高い納税額を新会社の設立によって相殺することを提案。それがアップル・レコーズ(Apple Records)の設立につながった。しかし、皮肉にもこの会社がきっかけとなり、ピンスカー氏はビートルズに別れを告げることになる。

 1968年11月、ジョン・レノンは初のソロアルバム「トゥー・ヴァージンズ(Two Virgins)」をアップルからリリース。ジャケットの写真はレノンとオノ・ヨーコ(Yoko Ono)のヌードだった。「うちの事務弁護士たちから、ジョンがアルバムを取り下げないとアップルはわいせつ罪で訴えられ、私が代表として責任を負うことになると言われた」と、ピンスカー氏。

「私はジョンに電話をかけてアルバムを取り下げてくれと頼んだが、答えはノーだった。それで私は辞めた。彼らの他の会社では仕事を続けていたが、それから数か月後もたたないうちにビートルズは解散した」

 しかし、ビートルズは最後に、深い賛辞をピンスカー氏に贈った。

 1969年、アビイ・ロード(Abbey Road)のスタジオで最後のアルバム「レット・イット・ビー(Let It Be)」のリハーサルをしていたときのこと。彼らは「ハレ・クリシュナ(Hare Krishna)」の歌詞を「ハリー・ピンスカー」に変えて歌い始めた。

「彼らがそんなことをやっていたなんて、何年も後になってからようやく知った」と、ピンスカー氏は言う。「今はその映像がユーチューブ(YouTube)に上がっている。とても光栄に思う」 【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:7/30(日) 10:00
The Telegraph