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「ミーコ」は“影武者”猫 母のため、娘たちが演じた優しき芝居

7/30(日) 10:01配信

sippo

「お母さんにとって、猫は大切な存在だったわね」「ウチは猫が絶えたことがないし」

 新盆を前に、東京都内に住む齋藤徳恵さん(53)と、妹の和子さん(50)が、母親と猫の思い出をなつかしそうに語る。姉妹の母、きよさんが亡くなったのは、今年3月のこと。享年91歳だった。

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 齋藤家には現在、猫が2匹いる。推定14歳のメス猫ミーコと、推定17歳のオス猫マメ。2匹とも福島県のシェルター(福猫舎)から譲り受けた猫だ。そのうちの1匹、ミーコは、実はもともと“お母さんのため”に、「色」や「模様」を指定して迎えいれたのだという。

「今のミーコは、前に飼っていた先代ミーコの身代わりというか、“影武者”だったんですよ」

 先代ミーコは、今から26年前の1991年、和子さんが勤める職場の裏で保護した茶色のサビ柄の猫だった。

「まだ小さく、怪我を負ったまま放置されていました。獣医さんに診せた後、家に連れて帰ったんです。ちょっとむすーっとしたところのある(笑)、かわいいメスの猫でした(笑)」

 その先代ミーコが死んだのは2012年、今から5年前のことだ。

 その時のミーコは21歳。とても長生きだった。保護した時に20代半ばだった和子さんは40代半ばになり、60代後半だった母親は80代後半になっていた。

 亡くなってから火葬業者が家に迎えに来るまで、ミーコを床の間の前に安置し、花やお線香を供えていたが、母親は受け入れようとしなかった、と和子さんが説明する。

「ミーコ、亡くなったんだよ。御線香あげなよ。明日お別れだよ、と母に何度言っても、『あ、そうなの?』などと言っていました。きちんと理解できていなかった上に、受け入れたくなかったのかもしれません」

 そして、ミーコの死後しばらくして、母親の行動に異変が起きた。室内のいたる所にミーコを探すようになったのだ。

「いないねえ、どこにいるの?」と、ソファの下を見たり、テーブルの下を見たり。「2010年から発症した認知症が進み、死をうまく理解できないようでした。そのうちに、ミーコは入院しているのだと思いこみ、『早く退院すればいいね』と帰りを待ち始めたんです」

 どうしようかと姉妹は悩んだ。

「このまま待ち続けているのはよくない」「思い切って猫を探そうか。ミーコに似ている猫を」

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最終更新:7/30(日) 10:01
sippo