ここから本文です

名門の4番、親子の絆 横浜高校・増田選手が恩返しの甲子園切符

7/30(日) 7:01配信

カナロコ by 神奈川新聞

 29日に横浜市中区の横浜スタジアムで行われた高校野球の第99回全国選手権神奈川大会決勝。横浜の連覇の立役者となった4番増田珠(しゅう)選手(3年)は地元九州を離れて名門へ入学して2年半。応援に駆け付けた両親にも、最高のプレゼントを贈った。

 今夏は大会タイ記録の5本塁打を放ち、誰もが認めるヒーローは試合後、こう口にした。「両親には本当にお世話になりました」。長崎県出身。「野球留学」でつかんだ夢だった。

 母・美穂さん(43)は息子の無邪気な夢物語をいつも聞かされてきた。「プロ野球選手になる」「15歳以下の日本代表に入って、横浜高校に行くから」。夢を一つ一つ実現していく息子に、驚くばかりだった。

 だから親元を離れる時、覚悟はできていた。「本人も腹をくくってるはずだから」と父の照久さん(45)。強豪校は地元長崎にも、九州にもたくさんある。それでも、何も言わなかった。

 その息子は宣言通り、1年生の夏から活躍し始めた。昨夏は甲子園にも出場。最上級生になり、平田徹監督(34)からは「このチームは増田のチーム」と言われるほど、期待をかけられてきた。

 あったはずの重圧を、いつも気合と笑顔で吹き飛ばしている息子が心強くもあり、心配でもあった。美穂さんは3月から単身、横浜に移り住んだ。「高校生活の最後の年。見届けたいと思って」。そんな母の愛情が、本人には少し面はゆい。「自分は一人っ子なので、愛情を注いでもらっているんです」

 満員の横浜スタジアム。大観衆の声援を一身に浴びる一人息子を目に、長崎から駆け付けた照久さんの胸に込み上げるのは、安堵(あんど)の親心だった。「こんなに活躍してくれるなんて。3年間の力を出してくれてよかった」

 その耳に、ヒーローインタビューでこんな宣言が飛び込んできた。「甲子園でも打ちます」-。いつも有言実行の、息子らしいと思った。

スポーツナビ 野球情報