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大宮駅と浦和駅、埼玉の中心はどっち?

7/31(月) 8:19配信

ITmedia ビジネスオンライン

 2001年、旧大宮市と旧浦和市、旧与野市が合併して、さいたま市が誕生した。念願の政令指定都市となったわけだが、以前も、そして以後も、浦和と大宮では対立が絶えず、大きな危険をはらんだ合併となった。

【対決ライバル駅!】

 そもそも、浦和・大宮が町だった昭和6年(1931年)から合併構想はあったが、浦和・大宮の両役場の仲が悪いために交渉は決裂し、お互い単独で市制施行となったのである。以後、県庁所在地である浦和市は県都として行政機関が集中し、文教都市として栄えてきた。

 氷川神社の門前町・大宮は、古くから商工業が盛んだったが、明治時代に国鉄大宮工場ができたことにより鉄道の街として大躍進。交通の要衝となり、商都として繁栄を誇ってきた。上越・東北新幹線開業で駅ビル、駅周辺に大型商業施設ができると、埼玉を代表する街としての地位を確固たるものとした。こうして、それぞれ独自に発展してきた両市の合併は、いわば呉越同舟の様相を呈し、さまざまな局面で熱いバトルを繰り広げている。駅もその例外ではない。

●大宮駅は県内ナンバーワンのターミナル駅、浦和は分身の術で対抗

 駅の規模は、新幹線も止まる県内ナンバーワンのターミナル駅・大宮駅が浦和駅を圧倒する。京浜東北線、宇都宮線、湘南新宿ライン、高崎線、埼京線、川越線、東北・山形・秋田・上越・北陸新幹線、東武野田線、埼玉新都市交通伊奈線など13もの線が乗り入れているのだ。対して、浦和駅は京浜東北線、宇都宮線・高崎線、新宿湘南ライン、上野東京ラインのみの停車駅。比較にならないほどの格差がある。

 しかし、「浦和」と名のつく駅の数では大宮を圧倒するのである。これはまた、さいたま市を訪れる人を混乱に陥れる「どこ浦和駅?」問題でよく知られていることだが、列挙すると、JRの浦和駅、東浦和駅、南浦和駅、西浦和駅、北浦和駅、中浦和駅、武蔵浦和駅、そして埼玉高速鉄道の浦和美園駅と計8駅。対する大宮はJR大宮駅など計5つ。「比較の基準としてどうなの?」という突っ込みも覚悟しつつ、浦和の総力戦をたたえたい。

●エスタブな浦和、先進の大宮

 それぞれの駅を代表する施設数で比較してみると、浦和駅周辺には埼玉県県庁、さいたま地方裁判所、県立図書館、県立美術館、埼玉県警、テレビ埼玉、NHKさいたま放送局、FM浦和、埼玉会館などがある。県庁所在地ゆえに当然といえば当然なのだが、エスタブリッシュメント感にあふれたラインアップだ。

 一方で、大宮駅周辺には鉄道博物館やさいたま市大宮盆栽美術館、プラネタリウムが見られるさいたま市宇宙劇場などが入ったJACK大宮がある。また、ユニークなプログラムで県外にもファンを多く持つFM局NACK5のサテライトスタジオを要する駅前ビル・アルシェには、人気タレントの出待ちのファンがたむろする。大宮は、斬新かつマニアックな施設が目白押しなのだ。

 とどめは2007年に開館された鉄道博物館。東京・秋葉原駅近くの交通博物館の閉館に伴って大宮に新設された「てっぱく」は「鉄道の街」大宮だからこそ成功した誘致だろう。

●商都・大宮をイメージ戦略で浦和が猛追

 女性にとって大切なのが商業施設の充実度。駅前のショッピングビルといえば、浦和は浦和コルソ、伊勢丹浦和店、浦和パルコ。大宮には、ルミネ大宮店、そごう大宮店、大宮タカシマヤがある。昔は商業施設数は大宮のほうが断然多かったが2008年に浦和住民待望の浦和パルコができたことから、浦和駅前は西口、東口ともに大型商業施設がそろい、環境的には商都・大宮と肩を並べたようなかたちだ。そのうえ、女性目線では「行ってみたい」と感じさせてくれるハイクラスなショップも多い。エスタブな街・浦和の面目躍如といったところで、今では一歩リードしている感もある。

 しかし、売上高を見てみると、圧倒的に大宮に軍配が上がる。これは乗り入れ路線の数で明白なように、乗降客数に雲泥の差があるため仕方のない結果だ。また、門前町につきものの繁華街の影響も大だろう。浅草と吉原の例にもあるように、昔から寺院と歓楽街は切っても切れない縁がある。氷川神社への参拝客が降り立つ東口には通称ナンギンと呼ばれる大宮南銀座、キタギンと呼ばれる北銀座があり、一大歓楽街を形成している。こうした歓楽街の存在が大宮の盛況を呼んでいるのも事実だろう。

 現在、大宮駅の東口は再開発計画が進み、レトロ感あふれる商店街は姿を消す可能性が高い。健全な街づくりは積極的に推進してもらいたいものだが、人のぬくもりを感じさせてくれる個人商店が姿を消し、地方都市にありがちな画一的な駅前の姿になってしまうのは悲しいことだ。

 大宮・浦和両駅ともに、地元民が誇る歴史を反映した成長を望みたい。

●ツートップで成長する政令指定都市を目指して

 北陸新幹線の開業で大宮駅は埼玉県の中央駅としての地位をさらに固めることとなった。しばらく大宮駅がその地位を脅かされることはないだろう。現段階での“駅対決”は、大宮駅の圧勝という結論を下すほかはない。そもそも鉄道の街として成長を遂げてきた大宮の象徴的存在の大宮駅である。大宮は王座を明け渡すつもりは毛頭ないだろう。交通の要衝として多くの人々が行きかってきた大宮には、人を呼び込む懐の広い街の遺伝子が息づいているのだ。

 一方で、浦和駅は文教都市という街のDNAが大宮とは違った街づくりを準備するだろう。

 規模的拡大ばかりが注目される浦和駅だが、箱に入れる中身は大宮とはずいぶん異なるに違いない。従来の埼玉のイメージを払拭(ふっしょく)してくれるような駅の誕生を期待したい。個性が乏しいと言われて久しい埼玉県念願の政令指定都市さいたま市。その主要駅として、浦和駅、大宮駅ともに自らの個性を生かした駅づくりにまい進し、日本に誇るユニークな都市づくりに貢献してほしいものだ。

●「さいたまダービー」は浦和VS. 大宮の代理戦争

 浦和レッズと大宮アルディージャが激戦を繰り広げる「さいたまダービー」は、サッカーファンなら誰もが知るところだろう。浦和レッズのホームグラウンド・埼玉スタジアム2002と大宮アルディージャのホームグラウンド・NACK5スタジアム大宮で行われる年2回の決戦は、さいたま市民を二分した応援合戦が繰り広げられ、大宮と浦和の意地と意地のぶつかり合い、浦和派と大宮派の代理戦争とも言われるものだ。J1優勝争いの常連・強豪の浦和レッズ、J2に落ちた経験をもつ大宮アルディージャとでは、歴史、実力、規模ともに格差は歴然としている。

 しかしここ数年、大宮アルディージャが浦和レッズと互角の闘いをしているのだ。

 浦和にだけは負けたくないという気持ちが選手の好プレーを呼ぶのかもしれない。とはいえ、そもそも大宮アルディージャの前身はNTT関東サッカー部として浦和で結成されたチームなのである。結局のところ、浦和と大宮は、お互いがあってこその存在なのである。