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7四半期連続減収の富士通、“反転攻勢への道”

7/31(月) 12:27配信

ITmedia エンタープライズ

 「国内のIT需要は今後、中長期で見れば堅調に推移して業績も右肩上がりが期待できるが、当社にとって課題は海外展開。事業の在り方を根本的に転換する必要がある」――富士通の塚野英博 代表取締役副社長兼最高財務責任者(CFO)は先頃、同社が開いた2017年度第1四半期(2017年4~6月)決算説明会で、全売上高のおよそ7割を占めるテクノロジーソリューション事業の動向についてこう語った。

【画像】富士通のテクノロジーソリューション事業におけるここ7四半期の売上高の推移(単位:億円)

 同社のテクノロジーソリューション事業は、ソリューション/SIとインフラサービスからなる「サービス」と、システムおよびネットワークのプロダクトからなる「システムプラットフォーム」の2つの領域で構成されている。

 決算については、2017年度第1四半期の全売上高は9226億円で前年同期比2.5%増だったが、そのうちテクノロジーソリューション事業は6726億円で前年同期に比べて1億円減に。塚野氏は、「ニフティのコンシューマー事業が連結対象外となって減収になったが、それがなければ増収」と説明するが、残念ながら微少でも減収は減収だ。

 実はこの減収に、富士通の深刻な課題が見て取れる。それというのも、テクノロジーソリューション事業の前年同期比減収が、今回で7四半期連続になるからだ。米IBMが先頃発表した直近の決算で21四半期連続減収となり、それから言えば、まだ3分の1ではないかとの見方もあるが、両社ともコンピュータメーカーとしてIT産業を長らくけん引してきたことを考えると、共通の課題もありそうだ。

 富士通のテクノロジーソリューション事業におけるここ7四半期の売上高の推移を、サービスとシステムプラットフォームの内訳も含めてまとめてみた。

 こうしてみると、このところ増減率では減少幅が小さくなってきているので、増収に転じるのも近いように見て取れるが、同社自体が2017年度通期の業績で同事業の減収を見込んでいることから、あと3四半期分を加えて「10四半期連続減収」が現実味を帯びた形となっている。

 ちなみに、テクノロジーソリューション事業の中でも多くを占めるサービスのうち、ソリューション/SIは国内の公共および民需が堅調なのに対し、インフラサービスは円高の影響もあって海外で低調というのが、このところの構図となっている。冒頭に挙げた塚野氏の発言は、この構図に沿ったものである。

●SIの海外展開およびデジタルサービスに注力

 では、富士通がテクノロジーソリューション事業において四半期の連続減収から脱し、反転攻勢に打って出るにはどうすればよいのか。塚野氏は決算会見で、反転策として次の2点を挙げて説明した。

 まず1つは、テクノロジーソリューションの売上高でおよそ3分の1を占める海外事業の内容を、現在の「マネージドインフラサービス」(MIS)に依存している状況から、「ビジネスアプリケーションシステム」(BAS)中心へと転換を図ることだ。

 塚野氏はこのMISおよびBASという言葉を盛んに使っていたので、おそらく富士通社内でも多用されているのだろうが、要は先述したテクノロジーソリューションのサービスにおけるインフラサービスがMISで、ソリューション/SIがBASを指しているようだ。

 なぜ、海外事業においてMISからBASへの転換が必要なのか。塚野氏の答えはCFOらしく「増収を図るとともに収益率を大幅に向上させるため」と明快だ。そして「これまで当社の海外事業はMISを展開する企業の買収によって広げてきた背景があるので、現状ではMISが中心になっている。しかし、競争力を強化するためにも、今後は国内で展開しているようなBASを海外でも推進していく必要がある」と強調。すでに2016年来、海外において大掛かりなリソースシフトを図っており、「2017年度下期には効果が目に見える形で表れてくるはずだ」と期待を示した。

 もう1つは、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)などを活用したデジタルサービスの展開だ。塚野氏は「デジタルサービスは本格的に収益に貢献するまで少々時間がかかるかもしれないが、それを少しでも加速させていきたい」と力を込めた。

 先に富士通の“先輩格”として21四半期連続減収のIBMの名を挙げたが、デジタルサービスの展開はまさしく両社に共通している課題といえるだろう。いや、厳密に言えば、両社ともデジタルサービスはすでに本腰を入れて取り組んでいるが、旧来の事業に代わって業績の大きな柱になるところまでは至っていないということだ。

 前段の話の「海外でのMISからBASへの転換」にしても、言葉遣いは別として、富士通にとってはかねての懸案事項だったと、筆者は記憶している。その意味では、実現させるには相当のテコ入れが必要となる。とはいえ、富士通にはそうした壁をぜひ乗り越えて、「○四半期連続減収」が代名詞にならないように尽力してもらいたいものである。