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従業員にマイクロチップを埋め込む米国企業、その意図は?

7/31(月) 16:42配信

ITmedia NEWS

[AP通信] 米ウィスコンシン州の企業が従業員にマイクロチップを埋め込もうとしている。ドアの開閉やコンピュータへのログイン、スナックの購入などを手をスワイプするだけで可能にする。

【人体に埋め込むインプラントの画像】

 Three Square Market(32M)によれば、50人以上の社員が8月1日にリバーフォールズの本社で開催される「チップ・パーティー」で自主的にインプラントを埋め込む予定。このチップは米粒大で、親指と人差し指の間に注射器で埋め込まれる。処置に要する時間は約2秒。

 この技術はすでにヨーロッパで利用されているが、32Mの幹部によれば米国では初めての使用例となる。マイクロチップは1人当たり300ドルのコストがかかるが、いずれ自販機だけでなく飛行機の搭乗や公共交通機関の利用、さらに医療情報の保存なども可能になるという。

 「われわれはこの件に関して最先端を走りたい。それが未来だからだ」と32Mのカート・ジャイルズ社長は語る。同社は20カ国で2000店のセルフチェックアウト・キヨスクを運営している。32MはスウェーデンのBiohax Internationalと提携。Biohaxでは従業員がこのインプラントを使用中だ。32Mは従業員のマイクロチップのコストを負担する。

 個人の所在地や購入履歴などを把握できるこの種の技術にはプライバシーへの懸念があるが、マイクロチップ内のデータは暗号化されておりGPSは使っていないと32Mの幹部は説明する。しかしウィスコンシン・ミルウォーキー大学の教授は、あらかじめ設定された目的のために使うとされていた技術が別の用途、例えば調査などで使われてしまう「目的外への機能使用」が起きる可能性を憂慮している。

 「最初は効率化をもたらすと思える技術だが、大きな欠点がある」と同大学の情報研究学部でインターネット倫理とプライバシーについて教えているマイケル・ジマー教授は警鐘を鳴らす。

 ジマー教授によれば、32Mの目的はより安全な方法、例えばiPhoneのアプリ1本で達成可能だと指摘する。

 「わたしが考えているのは、急ぐ必要はないこと、これらの技術が持つ意味を理解しておくということで、だからこそこのやり取りが必要なのだ」とジマー教授。

 ジャイルズ社長ら幹部は来週、まず自分たちがマイクロチップのインプラントを埋め込むが、賛同しない従業員の気持ちは理解するという。32Mではおよそ85人が働いている。

 「やりたくないという従業員もいるが、われわれは100%、従業員の意思を尊重する」と国際開発担当副社長のトニー・ダナ氏。マイクロチップは数秒で除去可能で「指に刺さったトゲを抜くようなもの」と同氏は説明する。

 32Mはマイクロチップを社内のみで使う計画だ。だが、パトリック・マクマランCOO(最高執行責任者)によれば病院チェーンなどからの問い合わせもある。ただし、どこかは言えないという。

 「われわれは責任を持って取り組む必要がある。拙速にやるべきことではない。正しいやり方で実行しなければならない。ゆっくり進めていく」とマクマラン氏。
(日本語翻訳 ITmedia NEWS)
(C) AP通信

最終更新:7/31(月) 16:42
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