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大事な用の前に調子が悪いのは幼稚園の頃のせいかも?

7/31(月) 20:45配信

All About

著名な発達心理学者であった米国人のエリク・エリクソンによれば、人の心理社会的発達は、ライフサイクルの折々で発達課題をこなす事でなされ、この発達課題をこなすという事は心の健康にも大変重要な役割を担うとされています。ここでは幼児前期の次の段階である幼児後期を重点的に解説いたします。

◆幼児後期における心理社会的発達子供の意義

ここで取り上げる幼児後期は、時期的には3歳位から5歳位までで、エリクソンが提唱した、人の心理社会的発達における8つの発達段階のうち、第3段階になります。この時期に対応する2つの心理的側面は「積極性」と、それに対する「罪悪感」となっています。

幼児後期は幼児が幼児前期(生後18カ月位から3歳位まで)の発達課題であるトイレ訓練を終えて、幼稚園に上がり、同じ年頃の子どもたちと遊び始める時期。この時期における幼児の最大の課題は、それまで幼児の生活の主な場であった家を出て、同じ年頃の子どもたちの輪に入っていく事。

この発達課題を無事クリアした幼児は、この時期に対応する2つの心理的側面のうち、「積極性」を獲得し、以後の人生で積極性を発揮しやすくなります。しかし、もしも幼児がこの時期、子どもたちの輪にうまく入っていけないような場合、この時期特有の、異性の親への憧れから生じるエディプス・コンプレックスが解決されにくく、以後の人生で、もう一方の心理的側面である「罪悪感」が強まる傾向があり、場合によっては、それが心の病気のルーツになってしまう可能性もあります。

◆幼児後期に関連する心の病気

幼児後期である3歳位から5歳位までにルーツがある代表的な心の病気は、エリクソンの理論によれば、恐怖症、心身症、そして転換性障害などです。

恐怖症は、その名の通り、特定の何かを不合理なほど恐れてしまう事が特徴的な心の病気。恐れる対象は様々で、例えば雷などの自然現象、蛇やゴキブリといった生き物、さらには乗り物あるいは高い場所やエレベーターのような狭い空間といったように恐怖を覚える対象は非常に多岐に渡ります。恐怖症では、こうした対象への恐怖感が不合理なほど強まっているため、日常生活に様々な支障が生じやすくなります。

例えば、雷を怖がるあまり、家の窓から外の曇り空を見て、外出を控えるようになってしまっていたら、日常生活にかなりの不都合が生じてくるはず。エリクソンによれば、恐怖症のルーツは幼児後期にあり、幼児がこの時期、同じ年頃の子どもたちの輪に入っていくという発達課題につまずいた事と、幼児が親から叱られる事を恐れる気持ちが、それからの人生で恐怖症のリスクを高めるとしています。

心身症や転換性障害は簡単に言えば、心の葛藤が身体的症状として現れてくる病気。心身症では例えば、大事な用事の前には決まってお腹をこわしてしまう……など、ストレス時に身体的不調が現れてくるほか、免疫力も低下して風邪をひきやすくなる、さらには、元々の持病である、例えば喘息などの症状が強まる傾向もあります。一方、転換性障害では心の葛藤のため、身体的問題は無いにも関わらず、一時的とはいえ突然、目が見えなくなる、あるいは、耳が聞こえなくなるなど、かつてはヒステリーと呼ばれていたような症状が特徴的です。

エリクソンによれば、これら2つの病気のルーツも幼児後期にあり、この時期の発達課題につまずくと、以後の人生で積極性を求められる場面で、それをうまく発揮できず、その時、心に強まってくる罪悪感などの葛藤がこうした身体的症状を生み出すとしています。

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最終更新:7/31(月) 20:45
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