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ロシア下院が「VPNやプロキシを禁じる新しい法案」を採択

7/31(月) 10:59配信

THE ZERO/ONE

ロシア連邦議会下院は2017年7月21日、市民のインターネット利用を制限するための法案を全会一致で採択した。 これはロシアでのVPNやプロキシなどの利用を非合法化する法になると伝えられている。この採択を受け、モスクワでは2000人以上の市民が「インターネットの自由」や「ロシア当局によるオンライン監視の中止」を求めるデモ行進を行った。一部の報道によれば、このデモ活動では少数の人々(a handful of people)が拘留されたという。

ロシアでVPNを使う理由

日本のネットユーザーに「もしもVPNを禁止されたらどう思いますか」と尋ねても、おそらくはピンとこない人のほうが多いだろう。日本はVPNの利用者が極端に少ない国だからだ。「vpnMentor」が発表した統計によると、世界のインターネットユーザーの平均VPN利用率は25%。日本での利用率はわずか6%で、これは調査対象国の中で最も少ない数字となっている。

ロシアのVPN利用率は、世界平均とほぼ同じ24%。取り立てて高い割合ではない。しかしロシアとVPNについて考えるときは、「この3年間のロシア政府の試み」について考慮するべきだろう。北米や南米などでは、「閲覧できる国が限定された動画を視聴するためにIPアドレスを偽装したい」などの呑気な理由でVPNを利用するユーザーも多いのだが、ここ数年間のロシアでは、もっと切実な理由でVPNの需要が高まってきた。

ロシアは2014年頃から、テロ対策として市民のオンライン活動を制限する動きが強まっている(※1)。具体的には、「特定のウェブサイトへのアクセス禁止」や、「アクセス禁止の対象となるコンテンツのブラックリストの編さん」、そして「ユーザーのオンライン活動の監視」を行うためのルール制定が進められてきた。そして昨年には、「対テロ法」とも「伝道規制法(※2)」とも見なされている「Yarovaya Law(ヤロヴァヤ法)」が採択された。
 
※1…このような動きがいつ頃から強くなったのかを断定することはできないが、筆者が記憶しているのは、「ソチオリンピック開催の数日前から、ソチ周辺の街では『Hunters(ゲイコミュニティの間で人気が高かった出会い系アプリ)』へのログインができなくなった」というニュースだ。その後、Huntersはハッキングの被害に遭い、7万人以上のユーザープロファイルを削除された。このときHuntersの代表者は、「ロシア政府がインターネットを管理しようとしている。この攻撃はインターネット検閲の拡大に繋がるものだ」と語っていた。つまり2014年の初頭には、まだ「政府にとって望ましくないサイトがアクセス制限されたらしい」という話題がニュースとして報じられており、オンライン検閲の拡大が「恐れられて」いた。
 
※2…この法律の施行後、ロシアは特定の宗教に属している市民への盗聴を行っている。それは「エホバの証人」を過激派団体と認定し、その活動を禁止する動きに繋がった。

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最終更新:7/31(月) 10:59
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