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横浜市長に林氏3選 新人2氏を大差で破る

7/31(月) 7:01配信

カナロコ by 神奈川新聞

 任期満了に伴う横浜市長選は30日投開票され、無所属で自民、公明党の推薦を受けた現職の林文子氏(71)が、いずれも無所属新人で、元衆院議員の長島一由氏(50)、前市議の伊藤大貴氏(39)の2人を破り3選を果たした。投票率は37・21%で過去最低だった前回の29・05%を大きく上回った。

 選挙は林氏の2期8年の評価や、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致、中学校給食の導入などが焦点だった。

 林氏は待機児童ゼロや大企業誘致、観光者数の増加などの実績を強調するとともに、子育て支援、超高齢化対策、働く女性支援、防災対策、経済活性化の五つを柱とした公約を提示。IRについては「白紙」と判断を明確にしなかった。給食は導入せず、既存の横浜型配達弁当「ハマ弁」を値下げし家庭弁当などとの選択制を「横浜スタイル」として示した。

 自民、公明党や連合神奈川、地元経済界の支援を受けて安定した戦いを進め、幅広い年齢層からも圧倒的な支持を集めた。

 長島氏は、3人で最も早い1月に出馬表明し、「しがらみのない完全無所属」「反カジノ」などを強調した活動を展開。だが、強固な組織に支えられる林氏に及ばなかった。

 伊藤氏は市議3期10年の経験を踏まえ、公教育の充実を重点施策とし、中学校給食の導入、カジノ誘致反対などを訴えた。江田憲司衆院議員ら一部の民進党の国会議員、地方議員に加え、共産党などで構成する市民団体などの後押しを受けたが、出馬表明が6月中旬と出遅れたことや知名度不足を払拭(ふっしょく)できなかった。

 当日の有権者数は306万2061人(男151万3999人、女154万8062人)。

◆林 文子氏
 都立青山高校を卒業後、自動車営業マンなどを経てBMW東京社長、ダイエー会長、東京日産自動車販売社長を歴任。2009年横浜市長選で初当選。モットーは「おもてなし」「現場主義」。公舎で飼い猫と過ごす時間が息抜き。家族は夫と長女。71歳。

解説 カジノ争点化させず
 現職の林文子氏が2期8年の実績と知名度を背景に、推薦を受けた自民、公明両党の組織力も生かして圧勝で3選を果たした。

 市長選直前には安倍政権の支持率が急落し、都議選で自民党が惨敗。仙台市長選でも与党候補敗北などという不安要素があったものの、民進党が林氏と前市議の伊藤大貴氏への自主投票とするなどし、仙台のような明確な与野党対決の構図とはならなかった。

 新人2人が「反カジノ」と中学校給食実現を争点に掲げて挑んだが、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致については「白紙」と判断を明確にせず、給食は既存の横浜型配達弁当「ハマ弁」の値下げなどを示し、争点化させなかったのも勝因であろう。

 とはいえ、林氏の得票率は前回の8割超から今回は約5割にとどまり、投票した人の約半数は「反カジノ」を掲げた2新人を支持した。本紙出口調査でも民意は示された。IR導入について「市民の意見を聞いて慎重に判断する」としてきた言葉通り、林氏には丁寧かつ明確な説明を求めたい。

 人口減社会に突入する「転換期の市政」を問う重要な選挙だったが盛り上がりには欠けた。投票率が改善したとはいえ、3割台にとどまったのは残念だ。

 林氏の選挙活動は支援者回りが中心で、街頭に立たない日もあった。現職であるからこそ、政党や団体に属さない多くの市民にも声を届けてほしかった。「集大成」となる3期目は謙虚な市政運営が求められる。