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旧富士山測候所、民間観測10年 借用期限は来夏、老朽化で継続不透明

8/1(火) 7:39配信

@S[アットエス] by 静岡新聞SBS

 富士山頂の剣が峰(3776メートル)にある旧富士山測候所で認定NPO法人「富士山測候所を活用する会」の運営による観測が始まり、ことしで10年を迎えた。利用者は延べ4千人を超え、大気化学や雷、放射線科学、高所医学、教材開発など多角的な研究が行われている。一方、気象庁の借用期限は2018年夏まで。施設の老朽化により、継続して借りられるかは不透明だ。

 31日、越境汚染の進行状況などを調べている早稲田大を中心とするグループの勝見尚也さん(30)=石川県立大講師=ら3人が旧測候所を訪れた。観測機器から大気中の微小粒子状物質「PM2・5」や雲に含まれる物質のサンプルを取り出し、研究室に持ち帰って成分を分析するという。勝見さんは「標高3700メートル以上は地上の生活圏の影響を受けにくく、汚染をいち早く知ることができる」と富士山の利点を語る。

 旧測候所は気象衛星の発達に伴い04年に無人化されたが、雷の研究に取り組む同会理事で、東京学芸大の鴨川仁准教授(45)は「定点観測ができる富士山では気象衛星では得られないデータもある」と指摘する。双方を組み合わせればより正確なデータが得られるという。

 民間観測が始まった当初は9事業210人だった旧測候所の活用は、10周年のことし、29事業500人にまで増加した。会の理事で民間観測の実現に奔走した土器屋由紀子さん(78)は「富士山で観測する意義を感じている研究者が多い。民間だからこそ自由に共同研究できる良さもある」と話す。

 一方、気象庁からの借用条件で、施設の保全修理は同会が担う。配電設備などの老朽化が著しく、費用負担は大きい。土器屋さんは「補修が十分でない場合、借用が更新されないかも」と懸念する。勝見さんは「環境研究は長期のデータ採取が必要。10年、20年と観測できる場であってほしい」と願う。

静岡新聞社