ここから本文です

10番にも負けない川辺駿の存在感…“推進力”が磐田を逆転優勝へ導くか

8/1(火) 18:11配信

GOAL

「もっとシュンさんみたいに」

報道陣に囲まれながら、ジュビロ磐田のMF川辺駿からしきりに出た言葉だ。しかし、21歳の若武者は10番を背負う天才レフティーに勝るとも劣らない存在感を見せた。

磐田は30日、明治安田生命J1リーグ第19節で川崎フロンターレと対戦。公式戦4連勝と波に乗るチームを相手にも磐田は5バックのスライドで対抗し、カウンターでのチャンスを次々とものにする。試合終盤には、ホームチームの波状攻撃を受けながらも、5-2で勝利して公式戦8連勝を飾った。

その中でもひときわ輝いたのが磐田で3年目を迎えている川辺だ。8分に中村俊輔の縦パスから川又堅碁がフリックしたボールに追いつくと、右足で落ち着いてファーへと流し込み先制点を挙げる。さらに2-1で迎えた55分には、再び川又が前線で起点となり、長い距離を走って最後はキーパーの股を抜くシュートで、再び川崎ゴールを陥れた。

先制点は言わずもがな、ダメ押しとなる3点目は結果的に5分間で3ゴールが生まれる猛攻の呼び水ともなり、貴重な2ゴールを右足で沈めた背番号40が大勝劇の中心にいたことは間違いない。

川辺は1点目について「(川又)堅碁くんの落としがスーパーだった」、キーパーの股を抜いた2点目には「ニアを狙ったんですけど」と控えめに語るが、どちらも長い距離を走って、チームのストロングポイントとなりつつあるカウンターを成功させたことには小さくない意味がある。名波浩監督も試合後の記者会見でカウンターについて整備していることを認め、その中で自身の求めるボランチ像に川辺が近づいていることを語った。

「これは僕の持論ですけど、現代サッカーのボランチは前に出ていかなければ何の魅力もない。前に出て来るボランチの脅威、それから相手選手が捕まえづらいというのは誰でもわかることですよね。刈り取るだけのボランチは時代遅れだと思いますし、そういう意味ではシュートの意識を持たせているのと、前への推進力、自分の良さをよくわかっているというのが上手く噛み合っているんじゃないですかね」

川辺に2つのゴールをお膳立てした川又は「俺より上手いから」と笑顔でおどけつつ、互いの良さを生かし合う関係になっていっていることを語る。

「呼吸は合ってきたと思いますね。練習の時から合わせているので」

■目標は中村俊輔

それでも、川辺が目指すのは今年からキックの質も真似ていると話す中村俊輔だ。天才レフティーは川辺とともに20回にも満たないボールタッチ数で前半を終えたものの、先制点の起点になり、2点目はセットプレーからアシスト。数少ないチャンス、とも言えるかわからない場面でゴールに結びつける力は、長年ワールドクラスと呼ばれてきた男の矜持と言い換えることもできる。

「少ないチャンスでも自分に入ったボールでクオリティを発揮できる」と、身をもって中村の上手さを体感している川辺。しかしすでに中村にはない、前に出ていくスピードを備えているのは事実で、その武器が実戦で猛威を振るう回数は以前よりも着実に増えている。リーグ戦6連勝と波に乗るチームの中で、川辺が前線に姿を現す頻度がさらに増えれば、逆転優勝への道も見えてくるはずだ。

川辺自身も「これだけ連勝が続けば」と、逆転優勝への意欲を覗かせる。一足先にミックスゾーンを去っていた中村とは対照的に、得意の“推進力”を発揮することなく、最後の最後まで丁寧に記者の質問に応対した川辺だが、ひとたびピッチに出れば、気持ちよく前に出ていく姿が見られるはずだ。

取材・文=平松凌

GOAL

最終更新:8/1(火) 18:11
GOAL

スポーツナビ サッカー情報

海外サッカー 日本人選手出場試合