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「G1優勝なんて小さな目標」と言い切る“スーパースター”オカダ・カズチカはどこまで上り詰めるのか

8/1(火) 16:03配信

スポーツ報知

 新日本プロレス真夏の祭典、シングル総当たり戦の「G1クライマックス27」が前半の10大会を終え、1日から後半戦に入った。

 ここまで5戦全勝。出場20選手中ただ一人勝ち点10を挙げ、Bブロックを独走しているのが、今や自他ともに認める新日のエース、オカダ・カズチカ(29)だ。

 7月22日の東京・後楽園ホール大会で、その心身のタフさと凄みを見せつけられた。

 体重110キロを超えるマイケル・エルガン(39)とのメーンイベント。オカダはエルガン・ボム、バーニング・ハンマーと言ったエルガンの得意技、フィニッシュ・ホールドを全身で受け続けた。終盤には、ほぼフラフラ状態のIWGPチャンピオン。何度も何度もカウント2・5が数えられたところで、必死に肩を上げる。

 オカダ・ファンの「プ女子(プロレス・ファンの女性)」の悲鳴が1737人超満員札止めの格闘技の殿堂にこだました時、必殺のレインメーカーが炸裂。観客の大多数に「やっと勝った」という印象を与えて、オカダは勝ち名乗りを挙げた。

 試合直後、「時間、どのくらいかかりました?」と荒い息とともに聞かれた。「25分49秒です」。30分時間切れぎりぎりまで戦ってのドロー。短いやり取りだったが、本当は「あそこまで相手の得意技を受け続ける必要があるのか? 相手に見せ場を作ってあげる必要があるのか」。オカダのリング上での戦いぶりのように“畳みかけるように”聞いてみたかった。

 それほど、オカダの戦いは毎回、過酷だ。相手の技を受けて、受けて…。観客をハラハラさせた上で強さを見せつけて勝つ。それがアントニオ猪木、天龍といった歴代スターが見せつけてきたプロレスというエンターティンメントの最大の売りであり、魅力と言われてしまえばそれまでだが、果たして体は持つのか。

 以前にも書いたが、スピード抜群のハイスパートの戦いが人気の元となっている新日マットでは、今年に入って本間朋晃(40)が中心性頸椎損傷、柴田勝頼(37)は硬膜下血腫とスター選手が次々とリング上で負った重傷のため戦線離脱。2000年代の新日を一人で支えてきた「100年に一人の逸材」棚橋弘至(40)も昨年負った左肩剥離骨折、二頭筋断裂の大ケガの後遺症に苦しみながら今年のG1戦線での完全復活を目指しているところだ。

 その高角度のドロップキックを一度見れば、誰もがファンとなる。身長191センチながら全身バネの固まり。抜群の身体能力を誇るオカダが、そう簡単に大ケガをするとは思えないが、心配のあまり聞いてしまう「怖さはないか?」という質問に常に「全くないです。プロレスラーは超人ですから。だって、僕、元気ですから。練習してますから」。そう答えてくれる29歳には、確かに自分への絶対の自信がある。

 22日の激闘後も「25分49秒ですか…。いやあ、そんなに時間かかるのが、僕の悪いクセですね。相手が頑張っているんじゃなくて、僕の悪いところはそういうところなんで」と苦笑いを浮かべ、「僕には(相手の技を)受けているつもりはないんです。僕は自然とみんなの良さを出してしまうレスラーなんじゃないかと思う。それがチャンピオンのプロレスなんじゃないかと思います」。汗まみれの顔でそう続けた。

 そう、新日に金の雨を降らせるという意味で「レインメーカー」と名乗る、この29歳は完全な“確信犯”だ。

 相手の技を受けて、また受けての激闘も、その後の制限時間ぎりぎりの格好良すぎる勝ちっぷりも、試合後のリング上での「三つ言わせて下さい。一つ、○○(対戦相手)さん、お疲れ様でした。二つ目、G1の戦い、満足ですか? まだまだ、こんなもんじゃないですよ。三つ目、特にありません」という三段落ちのマイク・パフォーマンスも全てが計算づくなのだ。だって、常に笑顔に余裕があるから。

 こんな一幕もあった。「G1の優勝は視野に?」という質問に珍しく声を荒らげて「優勝なんて小さな目標、どうでもいい。僕はもっと先を見ているから。それを見せて行くのがチャンピオンですから」。そう、全身で最大人気を誇る新日の金看板であることの恍惚とプレッシャーを受け止めた上で日々、リングに上がり、戦っているのが「レインメーカー」オカダ・カズチカ。8・13東京・両国国技館での決勝まで続くG1の大舞台での、その千両役者ぶりから片時も目が離せない。(記者コラム・中村 健吾)

最終更新:8/1(火) 16:03
スポーツ報知