ここから本文です

「天国で喜んでくれたら」 夫の遺稿集を出版 瀬戸内町出身の栄さん

8/1(火) 13:00配信

南海日日新聞

 長年連れ添った夫に先立たれ、心の整理をどうつけるか。鹿児島県大島郡瀬戸内町出身の榮園子さん(80)=鹿児島市=が英語教諭だった夫義彦さん(旧大島郡住用村出身)の遺稿集を出版した。突然の死から11年後に出した答え。「代わりに夢をかなえて胸のつかえがとれたよう。天国で喜んでくれていたら」と空を見上げる。

 義彦さんは鹿児島大学を卒業後、県内各地の中学や高校に勤めた。知人の紹介で出会った園子さんと結婚し、3男に恵まれた。

 退職後は趣味に没頭するなど元気に過ごしていたが、病に見舞われたのは76歳の春。自宅へ戻ることなく、病院で息を引き取った。書画の個展を開こうと準備していた矢先のことだった。

 結婚生活42年。園子さんは涙が出ないほどの喪失感を味わった。「書くことが大好きで作品集を出すのが夫の夢。晩酌のときも鉛筆を走らせていた」。新聞投稿に日記、短歌や絵画と数え切れない量の遺品が手元に残った。

 「まだまだ遺影もまともに見られないが、このままではいけない」。複雑な思いを抱えながら出版社に原稿を持ち込んだ。

 遺稿集は教え子の家族とのエピソードにちなんで「金色の卵」とタイトルをつけた。「老けて見え候」「教頭かけだし記」「郷土、奄美をみなおそう」―。テーマはさまざまで、多趣味だった義彦さんらしい一冊になった。
 夫の生きた証しを残すことで区切りがついたのか。日記は処分したが、書道の作品は捨てられずに取っている。「次はいつ作品集を出そう。また『ありがとうって』言ってもらいたいじゃないですか」

    ◇     
 「金色の卵」(あさんてさーな刊)は税別1300円。鹿児島県奄美市の書店などで取り扱っている。

奄美の南海日日新聞

最終更新:8/1(火) 15:36
南海日日新聞

Yahoo!ニュースからのお知らせ