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行方不明者の氏名、公表か非公表どうする? 災害時、割れる自治体判断 専門家「明文化が必要」

8/1(火) 10:29配信

西日本新聞

 死者・行方不明者が40人を超える九州豪雨で、被災地の福岡県朝倉市は捜索を続ける行方不明者の氏名を公表していない。災害時の不明者の氏名を巡っては、手掛かりを求めて公表することもあれば、朝倉市のようにプライバシーの視点から慎重なケースもあり、自治体で扱いが異なる。ただ、多くは基準を設けておらず、専門家は「明文化しておくべきだ」と指摘する。

 九州豪雨では、犠牲者の身元が特定された後に氏名が公表され、不明者については「家族の精神的負担やプライバシーに配慮した」(朝倉市)として非公表となっている。

 77人が犠牲になった2014年の広島土砂災害では、広島市が発生5日後に当時不明だった28人の氏名を公表。「市長のトップダウンで決めた。早期の安否確認につながった」(広島市)という。

 関西大の山崎栄一教授(災害法制)は「災害時の不明者情報は個人情報保護条例の例外規定の対象で提供は可能。人命救助など公共性が高い場合は素早い対応ができるよう、自治体は公表の基準を事前に定めておくべきだ」と話す。

「家族の意向を踏まえながら公表を考えるべき」

 しかし九州の各県と県庁所在市、政令指定都市計15自治体のうち、公表の基準を設けているのは鹿児島県のみ。「ケース・バイ・ケースで判断する」とする自治体が多く、長崎県と長崎市は「公表する立場にない」。佐賀県は「不明者の数が多ければ、公表するケースも考えられる」という。

 鹿児島県は14年、地域防災計画に「可能な限り安否情報を回答するよう努める」と明記。配偶者などからのDV(ドメスティックバイオレンス)を受ける懸念がある場合は「加害者などに居場所が知られることのないよう個人情報の管理を徹底する」としている。

 熊本市は昨年の熊本地震を受けて基準策定を進める。当時、市には不明者の問い合わせが相次いだが回答はできず「対応するためにも明確なガイドラインが必要」と感じたという。

 静岡大の牛山素行教授(災害情報学)は「匿名のまま不明者が見つからない場合、人々の記憶にも残りにくくなり、災害の教訓も薄れる恐れがある」と説明。「家族の意向を踏まえながら公表を考えるべきだ」としている。

=2017/08/01付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:8/1(火) 10:29
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