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アフリカにFinTechで銀行設立を目指す日本ベンチャー

8/1(火) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

アフリカで最も貧しい国の一つとされるモザンビークで、農村に暮らす人たちを対象に、電子マネーの普及と新銀行の設立に取り組む日本企業がある。社長の合田真さん(42)率いる日本植物燃料だ。貧困の削減を目指すうえで、所得の限られる人たちの金融サービスへのアクセスは世界的な課題のひとつだが、アフリカの農村部でも普及が進む携帯電話の活用が、金融サービスの確立の鍵になるかもしれない。

【画像】モザンビーク北部の農村。モザンビークは世界でも最も貧しい国の一つとされる。

日本植物燃料はアフリカでヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)という植物を生産し、その種からバイオ燃料を精製し、供給している。

京都大学を中退した合田さんは、当初金融先物取引の会社の営業マンだった。営業先の会社の役員に、災害情報の配信を手がけるベンチャーの立ち上げに誘われた。

20代で負った5000万円の借金

独立を考えてこの話に乗ったが、旗振り役だった役員が退社したことで、立ち消えに。「責任」を取らされる形で、合田さんが会社を引き取った。手元には、20代にして5000万円の借金が残った。登記簿上は2003年10月、コンピュータのシステム開発などを中核事業としていた企業の名称を変更する形で、日本植物燃料を立ち上げている。

その後、フィリピンなど東南アジアでヤトロファを育てて搾油する事業に取り組んだ。2003年3月のイラク戦争をきっかけに石油価格が上昇し、世界的にバイオ燃料への関心が高まった。国際情勢を背景に、東京都のバスにバイオディーゼル燃料を試験的に販売するなど、合田さんは少しずつ事業を拡大してきた。

10年ほど前、バイオ燃料の製造拡大を模索していた石油会社から誘われ、モザンビークに調査に出かけた。この調査が、同国に本格進出するきっかけになった。

モザンビークは人口約2798万人(2015年、世界銀行)で、国の開発の度合いを示す国連開発計画(UNDP)の人間開発指数(HDI)は、2015年時点で調査対象の188カ国中181位(日本は17位)。電化率は2013年時点では39%(USAID、米国国際開発庁)で、農村部は26%にとどまっている。世界の最貧困国の一つだが、近年は、天然ガスの開発や農業生産などで投資対象としても注目が集まっている。

日本植物燃料は2012年、モザンビークで現地法人(Agro-Negocio para o Dezenvolvimento de Mocambique、以下ADM)を立ち上げ、現地での事業展開を始めた。拠点は南北に伸びるモザンビークの中でも最も貧しいと言われる北部にあるカーボ・デルガド州だ。「現地の農村に深く入り込んでいる、現地の人材が確保できたのが大きかった」(合田さん)からだ。

村の人たちの主食は、主にトウモロコシだ。乾燥させたトウモロコシをすりつぶした粉を団子状にして食べる。合田さんたちはヤトロファの苗や農具を配って、畑の周囲を囲むように植えてもらい、種子を買い取っている。「事業のために畑の一部を空けてもらうのではなく、従来の畑とプラスアルファの収入源になる」(合田さん)という。

種子から生産したヤトロファ油は、各村の店で燃料として販売する。トウモロコシを女性や子どもたちがすりつぶすのは重労働だが、製粉業者がヤトロファ油を買って製粉機の燃料に使い、村人たちはそれぞれ収穫したトウモロコシを持って行き、粉にしてもらう。油はランプの燃料にもなる。油を絞った後の残りかすも肥料として販売する。

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