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エクスペディアが「鉄道」に本格参入、買収後の「シルバーレイル」責任者に、世界の最先端事例から日本の鉄道への提言まで聞いてきた

8/1(火) 14:40配信

トラベルボイス

英国ロンドンからバーミンガムへと走る鉄道会社、チルターン・レイルウェイズでは、今年9月から「切符のいらない自由な旅」の実用化に向けて、携帯電話を使ったチケットレス化の実証実験をスタートする。同パイロットプログラムの技術パートナーを務めるのが、世界のOTAや旅行会社向けに、鉄道予約・販売のプラットフォームを提供するシルバーレイル社だ。今年6月には、エクスペディア・グループ傘下に加わった。

【写真】インタビューを受けるキャメロン・ジョーンズCOO

そんな同社の展開から日本の鉄道に対する示唆まで、このほどWIT Japanにあわせて来日したキャメロン・ジョーンズ最高執行責任者(COO)に聞いた。

世界最高レベルの鉄道ネットワークを誇る日本。ジョーンズCOOは、訪日インバウンド需要を地方へ波及するためには、鉄道の旅をチケットレス化し、利用者をさまざまなストレスから解放すること、流通チャネルを世界中からやってくる旅行者のためにグローバル化することが急務だと話す。

予約や情報収集のストレスから自由になる

チルターン・レイルウェイズは、英国ロンドンのメリルボーン駅を拠点に、人気の観光地ストラトフォード・アポン・エイボンやオックスフォード、バーミンガムへの路線を運行している。同鉄道を展開するアリヴァUKトレインズ社(Arriva UK Trains Company)は、英国で初めてモバイルを使った電子チケットを導入するなど、デジタル時代に対応した先駆的なサービスで知られる。

だが、同社とシルバーレイルが始めた実証実験では、さらに一歩前進。事前に電子チケットを買う必要もなくし、目指すのは「完全にストレスフリーな鉄道旅行。利用者はアプリを携帯端末にダウンロードし、利用当日、モバイルをかざして改札を通るだけ」(ジョーンズCOO)だ。改札口は、乗客の携帯のブルートゥース(Bluetooth)で開閉する仕組みだ。利用後は、時間帯や路線に応じ、自動的に運賃合計額を計算、課金される。GPSで乗客をトラッキングできるので、改札口がない駅でも利用状況は把握できる。

「たとえばキャンペーン運賃や割引パスの存在を知らずに乗車した場合でも、該当する場合は、自動的に割引料金が適用される。複雑な料金体系や情報収集のストレスや不安からも解放される」と同COO。鉄道会社には利用データが蓄積され、利用者はより手軽に鉄道を利用できる。結果として利用者増にもつながると期待する。

要予約の指定席については、事前にオンライン予約し、電子チケットをクラウド上にあるバーチャル・ウォレットに保管。乗車当日は、携帯端末でこれにアクセスし、改札口にかざしてスキャンする。

この実証実験で、シルバーレイルは、鉄道利用アプリケーションなど、一連のテクノロジーを提供する。英国の場合、改札口はすでにモバイルやスマートカード対応になっているため、大規模な改修は必要ないという。

ジョーンズCOOは「鉄道は、デジタル化が急速に進む旅行マーケットにあって、手つかずのままの領域。鉄道の市場規模は、年間予約高が3000億ドル、航空産業の4分の3に達するにも関わらず、オンライン手配から取り残されてきた」。だが航空会社ではすでにeチケットが普及し、タクシーでは、現金もクレジットカードもいらないウーバーなどライドシェア利用が拡大。「鉄道の旅も、デジタル化によって同じように自由で便利にすることが、当社の使命であり存在意義」と考えている。

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最終更新:8/1(火) 18:24
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