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社説[広がる覚醒剤]水際防止に全力尽くせ

8/1(火) 7:20配信

沖縄タイムス

 県内で覚醒剤がまん延する兆しが出ている。

 県内在住の5人が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕され、「組織的密輸・密売組織」の存在が明らかになった。極めて憂慮すべき事態だ。

 きっかけは、組織を構成する5人のうち、密売役とみられる男が3月に逮捕されたこと。その後、那覇空港で体内に覚醒剤を隠し持ったまま台湾から入国しようとした別の男が逮捕された。

 県警と関係機関は捜査を徹底して密輸・密売組織を突き止めた。5人は役割分担していたとみられる。(1)指南役(2)台湾から密輸する運搬役(3)覚醒剤の小分け・保管役(4)密売役(5)資金送金役-である。

 密輸・密売の指南役が組織の頂点にいるとみられ、県外で元暴力団組織の一員だったことがあるという。覚醒剤の密輸・密売が暴力団の資金源となるようなつながりがなかったのかどうか、県警にはさらに事件の全容解明を続けてもらいたい。現地の言葉に堪能な運搬役もおり、売買の交渉役を担っていたとみられ、警察庁を通じて現地警察との連携も必要だ。

 密輸・密売組織は摘発される以前に捜査の網をくぐり抜けて少なくとも覚醒剤約500グラム(末端価格約3500万円)を持ち込んでいたとみており、県内外で売りさばかれた可能性がある。

 県内で覚醒剤使用などが広がっていることが裏付けられている。摘発された人は今年上半期だけで50人に上る。前年同期と比べ15人増えており、ハイペースで進んでいる。覚醒剤密輸の摘発人数も2015年にゼロだったのが16年には14人に激増。いずれも懸念される数字である。

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 もう一つ気になるのは好調な沖縄観光をけん引しているクルーズ船が初めて覚醒剤密輸の舞台になったことだ。

 昨年12月、覚醒剤2・6キロを密輸しようとした台湾籍の男が那覇市若狭のクルーズターミナルで税関職員に発見されて逮捕され、懲役8年の実刑判決を受けた。

 クルーズ船の別の男から覚醒剤を受け取った男は那覇市内で待機。東京のJR上野駅で覚醒剤10・6キロを所持していたとして逮捕され、懲役10年の実刑判決を受けた。問題は税関をすり抜けていることである。密輸に成功し帰国した3人の男もいる。

 検査施設や職員数が足りず、時間も十分にとれないクルーズ船の盲点を突いた手口である。過去にも密輸していることが分かっている。

 判決で犯行は密輸組織が計画したもので、2被告は「組織の中で末端者にすぎない」と認定。やはり現地警察との連携を強める必要がある。

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 クルーズ船の沖縄県内への寄港回数は15年の219回から16年には387回と飛躍的に伸びている。沖縄の観光客の伸びの鍵を握るのがクルーズ船寄港である。

 クルーズ船が覚醒剤密輸の舞台となっては観光立県のイメージダウンにもつながる。

 県警、税関、麻薬取締支所、第11管区海上保安本部など関係機関は沖縄流入を食い止めるため、防止体制の強化を急がなければならない。

最終更新:8/1(火) 7:20
沖縄タイムス