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脅かされる「若きエリート」の地位、科学・学術分野が抱える課題…文科省まとめ

8/2(水) 13:15配信

リセマム

 文部科学省は8月1日、「科学技術・学術分野の国際展開について―我が国の国際競争力の向上に向けて―」を公表した。トップ10%論文の国際シェアの低下などの課題についての議論をとりまとめた報告書で、平成30年度で取り組むべき新施策や既存施設の活用方策を記している。

トップレベル研究環境の国際化 ほか詳細資料

 文部科学省によると、科学技術・学術審議会国際戦略委員会報告書(平成29年2月)において、日本の研究者の国際流動性不足やトップ10%論文の国際シェアの低下が課題となっているという。報告書ではこれを「我が国の科学研究がこの10年で失速し、科学エリートの地位が脅かされている」と表現。また、国際的な潮流になりつつある「持続可能な開発目標(SDGs)」をふまえると、日本における科学技術イノベーションも優先課題のひとつである。

 8月1日に公開された報告書では、科学技術・学術分野における国際的な展開に関して、平成30年度で取り組むべき新施策や既存施策の活用方策をまとめている。

 「科学技術・学術分野の研究の国際化」については、現状の課題と要因のほか、国際研究環境の変化や対応などをまとめている。トップ10%論文の国際シェアの低下については、優れた国際共著論文数の伸び悩みが要因にあり、国際比較すると英・独の国際共著論文数は日本の約3倍、仏は日本の約2倍。日本の研究の国際化は、欧米先進国におくれをとっていることがわかる。

 また、日本人研究者の国際流動性の不足については、高校生・大学生段階からの留学生の減少傾向や帰国後のポスト確保の懸念、海外挑戦機会の不足、研究者が大学内の教育研究に忙殺される中で海外派遣のための人的余裕がないことなどが考えられる要因としてあげられている。

 ただし、報告書はさまざまな観点で国際化を推進していく必要があるとしながらも、国際化は手段であり、それ自体を目的としてはならないと留意。

 今後の具体的な施策としては、優れた国際共同研究の支援、研究の国際化のためのネットワーク構築支援、ファンディング機関や大学の教育研究環境の国際化、人材育成の観点からの若手研究者の国際化について、継続・強化・拡充すべき事項と平成30年度以降速やかに取り組むべき事項などをまとめている。

 具体的に、若手研究者の国際化に関しては、日本学術振興会(JSPS)において博士後期課程の学生を対象に3か月以上の海外での研究実施を支援する。早い時期からの国際的な研究経験の蓄積を目的としており、直ちに取り組むべき事項とされた。

 平成27年9月の国連総会において「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、その中で17の目標と169のターゲットから構成される「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられた。開発途上国の開発に関する課題にとどまらず、世界全体が直面する課題の解決に向けて、先進国と途上国がともに取り組むべき普遍的な目標だ。

 「持続可能な開発目標(SDGs)」をふまえ、文部科学省では、ライフサイエンス分野、環境エネルギー分野、宇宙分野、海洋分野において、SDGsの目標を念頭に課題解決に向けた施策を展開している。文部科学省は今回の報告書を踏まえつつ、日本の国際競争力向上に向けて、さらなる取組みを強化していく考え。報告書は、文部科学省Webサイトから閲覧できる。

《リセマム 黄金崎綾乃》

最終更新:8/2(水) 13:15
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