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「美しすぎる刑務所」が生まれた「本当の理由」 無印良品も参入、監獄ホテルに! フロントは看守所

8/6(日) 7:00配信

withnews

 老朽化などのため、2017年3月末に閉鎖された奈良市の旧奈良少年刑務所。国の重要文化財にも指定された歴史的な建物ですが、このたび、全国初の「監獄ホテル」に生まれ変わることになりました。刑務所とは思えない立派な建物。そこには、明治時代、西欧列強と渡り合う日本が「美しすぎる刑務所」を作らなければならかった「本当の理由」がありました。(朝日新聞大阪本社映像報道部・内田光)

【画像】まるで中世のお城? 無印良品も参入する「監獄ホテル」の美しすぎる姿

赤れんがの外観が美しい旧奈良少年刑務所

 大勢の観光客が訪れる奈良公園や東大寺から北に歩くこと約20分。閑静な住宅街の中に突如、赤れんが造りの壁や大きな表門が現れます。上部がタマネギのような形をした門柱やアーチ状のデザインが目を引く、この建物が旧奈良少年刑務所です。

 表門をくぐるとと、広々とした中庭と、その奥には刑務所の庁舎が見えます。

 刑務所が建てられたのは1908(明治41)年。設計したのはジャズピアニスト山下洋輔さんの祖父で、監獄建築家として司法省(当時)に勤めていた山下啓次郎さんです。

 啓次郎さんは「明治の五大監獄」(千葉、金沢、奈良、長崎、鹿児島)の全てを設計。このうち奈良少年刑務所は現存する刑務所として最後まで運用され、国の重要文化財にも指定されました。

 建物を真上から見ると、刑務所ならではの特徴的な設計がよくわかります。刑務官がいる中央看守所から放射状に5つの収容棟が延びる様子は、まるで手のひらを広げたような形をしています。

 中央看守所からは、収容棟の廊下が全て見渡せるような設計になっています。外の優雅さとは打って変わって、中は実用的な刑務所そのもの。刑務官が立つ看守台や鉄格子があり、収容棟に通じる廊下の入り口には各棟の名称「第1寮」から「第5寮」までのプレートが掲げられています。

受刑者が使っていた独房が「客室」に?!

 「監獄ホテル」と言うからには、客が寝泊まりする部屋があるはずですよね。聞いてみると、やはり、実際に受刑者が使っていた独房や雑居房を「客室」に改装して提供するそうです。一体どんな部屋なのでしょうか?!

 まずは独房を見せてもらいました。石造りの室内は、暑い夏でも少しひんやりとした空気。広さ約5平方メートルの独房の中は小さな窓とトイレ、洗面台があるのみのシンプルな内装です。今のところ冷房は付いていません。

 部屋の扉は刑務所ならでは重厚感があります。厚さは約10センチで、内側には鉄の板。廊下側にはいかにも頑丈そうな鍵がついています。

 部屋の扉には、刑務官が室内にいる受刑者の様子をのぞくための監視窓や、食事を差し入れる小窓などが備えられていました。

 刑務所全体の収容定員は697人。ところが、2003~2004年のピーク時には定員超えの800人近くを収容し、独房(定員1)に2人、雑居房(定員3)に4~5人が暮らしていたこともあったそうです。

 部屋から廊下に出ると、ここにも刑務所ならではの設計がありました。2階の廊下は、床の中央部分に穴が開いていて、鉄格子がはめられています。フロアをまたいで監視がしやすいようになっているんですね。昼間でも薄暗い廊下には、ところどころ、天窓から太陽の光が入ってきます。

 さらに、こんな仕掛けも! 「報知機」と呼ばれる黄色いプレートは、受刑者が刑務官を呼びたいときに使ったそうです。室内のボタンを押すと、扉の脇の壁からプレートが飛び出す仕組みです。

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最終更新:8/6(日) 7:00
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