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テザリング料金は「もうしばらくお待ちを」――KDDI田中社長と一問一答

8/2(水) 15:15配信

ITmedia Mobile

 KDDIは8月1日、2017年度第1四半期決算を公表した。決算上は前年同期比で増収を達成したものの、周辺のデータをつぶさに見るとau(KDDIと沖縄セルラー電話)の携帯電話契約が減少傾向にあることなど、不安要素も見え隠れする。好調な新料金プランも、あまりに集中してしまうと減収要因になりうる。

【囲み取材に臨む田中社長】

 そんな状況の中、同社の決算説明会に参加した記者たちは田中孝司社長にどのような質問をしたのだろうか。そして、田中社長はどのように答えたのだろうか。

●質疑応答

―― 新プランが45万契約を突破したという話があったが、新プランの契約者数が増加することによる収益への影響をどのように考えているか。

田中社長 値下げによってARPA(※)は下がる方向に行くと思う。もう少し(サービスを含めて)使ってもらうために、「auフラットプラン」なら「安いけれどおトク」というところを訴求したい。

 「(フラットプランにして)もっとデータを使いたい」という方向に持っていくことができれば、ARPAも上がる構造になってはいるが、まだ(提供を)始めてから半月なので今後どのようになっていくかはまだ分からないというのが現実だ。

 とはいえ、半月で45万(契約)ということなので、(au契約者には)受け入れられているという手応えは感じている。調べたところ、Androidの端末購入は5割増、MNP新規も2倍増になっている。新たなお客さまの影響が、今後どのように出てくるのかはもう少し時間をかけないと分からないと思う。

 半月でここまで来られたのは、営業部隊にとってポジティブな“追い風“になったとも思う。

ARPA(Average Revenue Per Account):1契約者当たりの平均収入

―― 第1四半期決算の減収要因に「戦略コスト」として50億円が入っている。この内訳を可能な範囲で教えていただきたい。

田中社長 2016年度通期決算説明で、年間で500億円の「戦略コスト」を盛り込むと話したかと思う。内訳としては200億円を「au STAR」を中心とするリテンション(顧客還元や引き留め施策)、150億円を店舗(auショップ)のリニューアル、残りを(「au WALLET Market」や「Wowma!」などの)コマース事業に使う予定だが、今期の「50億円」はその四半期分だと思って良い。

 「(予定額の)10%程度しか使っていないの?」と思われるかもしれないが、特にリテンションコストは年度の後半に向かって額が増えていく。店舗リニューアルも、年度の後半に集中している。内訳の詳細については、これくらいにさせていただきたい。

―― 他社(NTTドコモ)が大容量プランにおける「テザリング料金」の課金を無期延期した。それに対する対抗策などは考えているか。

田中社長 ドコモさんの発表は昨日(7月31日)だったかと思う。我々は現状で2018年3月までを(大容量プランにおけるテザリングオプション料金の)無料期間としている。それが終わるまでに(オプション料金を)どうしようか検討しようと思っている。

 「もうしばらくお待ちを」というのが、現状のステータスだ。3月末まで、しっかり状況を見て判断していきたい。

―― 連結のモバイルID(auとグループ内MVNOを合算した携帯電話の総契約数)は確かに増加しているが、MVNOの比率が高まっていて、肝心のauが減っている。今後、auの契約者数はどう推移すると考えているか。

田中社長 前年同期比でau契約者数が「右肩下がり」になっているのは事実で、その主たる原因はMVNOへの流出であると理解して頂いて良い。年度替わりを挟んで2月から5月にかけては家族がまとめて(MNPで)転出するケースが多く、よりインパクトが現れている。

 「今後どうなるのか」という話だが、新プランのキャンペーンで「イチキューハチマル(1980円)」という価格を打ち出したことでリテンションが効き始めたと認識している。新プランによって(他社への)流出が下げ止まることを期待している。

 見通しについては、もう少し時間を頂きたい。

―― Android端末の場合、「auスマートパス」加入の有無で「毎月割」の金額が変わるという組み立てになっていると思う。新料金プランでは毎月割が付かないので(auスマートパスの)ユーザー獲得においてマイナスの影響が出てしまうと思うのだがどうか。

田中社長 (毎月割の付かない)新料金プランの導入でスマートパスの新規契約が減るかどうかは始まったばかりで「まだ分からない」というのが正直な所だが、現実的にはそれほど影響はでないと思っている。もう少し様子を見てみたい。

―― 新料金プランがリテンションに効いてくるという話があったかと思うが、他社からの顧客獲得に影響している点はあるか。

田中社長 正直なところ、今ご質問頂いたことに関連して、私たちの予想と違うところが大きく2点出た。

 新プランは「MVNO流出阻止」といったリテンションを考えて(既存の)お客様にとって望ましいプランとして作ったのだが、MNP新規が(新プラン)導入前の2倍に増え、Android端末の新規契約も5割増えた。これが1つめの「予想外」だ。

 もう1つの「予想外」は、お客さまがプランを「良く見ている」ということだ。新プランではピタットプランを中心に訴求をしているが、従来の「データ定額5」に少しプラスするだけで20GB使えるということで「フラットプラン(20)」を選ぶ人も多い。「データ定額1/3」を使っている人がピタットプラン、それ以上のデータ定額を使っている人がフラットプランに行っている。

 フラットプランの良さを知ってもらうには少し時間がかかると思っていたが、当初の予想以上に選んでもらえている。

●囲み取材

 説明会後、10分ほど報道関係者が田中社長を囲んで「囲み取材」が行われた。主なやりとりは以下の通り。

―― 営業利益の進捗(しんちょく)率が29.4%だった。通期業績の上方修正を考えても良いと思うのだが、(しなかったのは)不安要因があるからか。

田中社長 まだ“第1四半期”であるということと、第2四半期になると「例の端末」が出てくるということがある。第2四半期にはそれ絡みでイベントもあり、第4四半期は「学割」シーズンで業績も上下しうる。あと、現在「協議中」というものもある。

 不確定要因が多い状況なので、第1四半期の上方修正は見送った。通常、KDDIでは決算の修正を第3四半期決算でやるようにしている。

―― 「協議」はまとまりそうか。

田中社長 協議中です(笑)。

―― 新プランで増えた契約の数字について、改めて教えてほしい。

田中社長 新プランでは「新規契約する人」「機種変更する人」「情報(プラン)変更する人」の大きく3つに区分できる。

 まず、「新規契約する人」「機種変更する人」については1.5倍に増えている。「情報変更する人」もそれなりに増えている。

 「新規契約する人」の中にはMNPで転入してくる人もいる。その数が、新プランを開始する前の2倍になったということだ。

―― どこからの転入が多いのか。

田中社長 特徴的なものはないと思う。

―― MVNOからの乗り換えもあるのか。

田中社長 いると思う。ただ、転入の比率がいつもと大きく違うということはない。

―― 先ほど出た45万契約にはプラン変更は含まれているのか。プラン変更の場合、今日からの適用となると思うのだが。

田中社長 45万契約は「申し込み(受け付け)」ベースなので含んでいる。プラン変更の人はそれなりに多く、(機種購入時は対象外となる)iPhoneユーザーのプラン変更もそれなりに結構多い。

―― 新プランは(子会社の運営する)「UQ mobileつぶし」にならないか。

田中社長 少し影響が出ているという話は聞いているが、大きくは出ていない。あとは切磋琢磨して頑張っていきたい。

―― au回線を使ったMVNOサービスが増えるという話を人づてに聞いた。

田中社長 事業者間協議は非開示となっているので(回答は控える)。

―― 会見では(グループ内の)MVNOを含めて成長させるという話があった。

田中社長 (グループ会社には)それぞれにKPI(重要経営指標)があり、全体として収益(の確保)が課題となっている。連結対象のJ:COM MOBILE(ジュピターテレコム)やUQ mobile(UQコミュニケーションズとUQモバイル沖縄)などが全体として純増して成長すれば良いと思っている。

―― 「どうやって(グループ内MVNOを成長させる)」という話がなかったので聞かせてほしい。

田中社長 KDDI(au)については、ご存じの通りモバイルID(契約者数)がそんなに増えていく状況ではないので、「ライフデザイン戦略」として非通信領域での成長を求めていく戦略を取っている。新プランはMVNOへの流出がそれなりにあることと、既存の料金プランがお客さまの要望にぴったり合っていないということで作ったものだが、それが当たって半月で45万契約(獲得)という形で表れた。そのことには非常に満足している。

―― そうではなくて、MVNOの成長戦略があると思って聞いているのだが。

田中社長 MVNOは(グループ内であっても)「他社さん」なので、あまり細かいこと(指示や指導)をやるとよろしくないということがある。僕らは収益目標を聞いて「頑張って下さい」という立場だ。

―― 2017年6月の(グループ内)MVNO契約者数が107万契約と大幅に増えているが、どのMVNOが貢献しているのか。

田中社長 UQ mobileが頑張っているのではないか。UQ mobileは端末セットでのユーザー獲得に力を入れていて、J:COM MOBILEはケーブルテレビのユーザーを「じわじわ型」で獲得している。BIGLOBE SIM(ビッグローブ)はまだ連結化して時間がたっていないので、これからだ。

―― 新プランが半月で45万契約できたのは「予想外」か。

田中社長 いや、かなり高めの目標設定をしていたので、そこまで予想外ではない。

―― その「目標」はどのくらいか。

田中社長 (獲得できた)45万契約に似た数字ではある。

―― 「ピタットプラン」と「フラットプラン」の具体的な比率は開示しないのか。

田中社長 まだ非開示としている。思ったよりもフラットプランが多い状況だ。(変更前のプランが)5GBだと、皆さんフラットの方に行ってしまう。

―― ドコモでは「カケホーダイプラン」を導入した際に、思った以上に使われてARPU(※)が下がってしまうという現象が起こった。今回の新プランではそのようなことは起きないのか。

田中社長 どうなんでしょうね。(新プランの)獲得比率が計画と比べて大幅にずれている訳ではない。今期(第2四半期)で200億円ぐらいの減収は見込んでいるが、それ以外の面で影響が出るかどうかを注視したい。

ARPU(Average Revenue Per User):1回線当たりの平均収入

―― (新プラン導入で)解約率はどのくらい下がるか。

田中社長 実は第1四半期の解約率は前年同期比で上がっている(0.77%→0.91%)。これは先ほども言った通りMVNOへの流出が効いた結果だが、今後はまた段々下がっていくのではないかと考えている。

―― 今回の施策(アップグレードプログラムEX)で4年間は解約しづらい状況が生まれると思うが。

田中社長 そうなる(解約が減る)と良いとは思っている。どうなるのかなぁ。

 我々としては、(アップグレードプログラムEXで)機種変更をどんどんやって満足してもらえればおのずと(解約率は)下がると思っている。ただ、他社さんの動向もあるので(予想しきれない面もある)。

―― データ通信をどんどんしてもらうという話があったかと思うが、「ビデオパス」など(データ通信を使ってもらうためのサービスが)いまいちパッとしない印象がある。てこ入れはしないのか。

田中社長 ご指摘ありがたい。いろいろ検討している。今回示した資料の中で、Year on year(1年間)のデータ通信量の伸びに驚いている人もいると思うが、「映像型」に(トラフィックの中心が)シフトしてきていて、通信量が非連続で増加している。

 海外のキャリアでも、月間平均の通信容量が「20GB」なんていう所も出てきているが、(トラフィックに占める)映像比率の高まりは(今後の)課題になってくると思う。

―― 月間平均20GBの海外キャリアとはどこか。

田中社長 北ヨーロッパの皆さんご存じのキャリアです。月間平均10~20GBというところが出てきています。

―― 「三太郎の日」は成果があったのか。

田中社長 あれはすごかった(笑)。いっぱいお店に来ていただけて、ありがたい。

―― ドコモの吉澤和弘社長は「なぜ30日と31日は対象じゃないのだろう?」と言っていました。

田中社長 そこまで考えていたわけではない(笑)。確か“3付きの日”ということで(一の位が3である)3日間にしたのだと思う。

―― (三太郎の日も)リテンションには効果があったと。

田中社長 そうだ。やはり、喜んでいただけるとリテンションには効く。休みの日ということもあり、私も23日に(マクドナルドへ)行った(笑)。次(8月)はミスドだ。

―― au WALLET プリペイドがApple Payに対応したが、Androidスマートフォンユーザーに対して何らかの手段で「QUICPay+」(au WALLET プリペイドのApple Payで対応している非接触IC決済サービス)を使えるようにはしないのか。

田中社長 検討はしている。

最終更新:8/2(水) 17:12
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