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<睡眠剤混入>「全て失った」「信じられない」 施設長、職員の再逮捕受け吐露

8/2(水) 9:53配信

千葉日報オンライン

 千葉県印西市の老人ホームの睡眠導入剤混入事件は1日、准看護師、波田野愛子容疑者(71)が殺人容疑などで再逮捕され、これで死傷した被害者は6人となった。「いまだに信じられない」「全て失った」。同ホームの寺田洋介施設長(44)は同日、殺害されたとされる職員、山岡恵子さん=当時(60)=を悼むとともに、施設内が舞台となった凶悪事件への複雑な思いを吐露した。

 「施設の中心になって何でもやってくれていた」

 寺田施設長によると、2月の交通事故で殺害されたとされる山岡さんは、2015年4月から同施設で働き始めた。介護主任として同僚約15人をまとめる中心的存在で、介護方針を1人ずつ丁寧に決めることから約50人の入居者にも信頼されていた。

 「地域に根差したい」という思いが強く、「地域の学校やボランティア団体との交流など、大きなイベントを企画するのが得意」(寺田施設長)。施設にとってなくてはならない存在で、同僚らは「何事にも丁寧で発想も豊か。大好きだった」「全てを失ってしまったように感じる」と惜しんだ。

 山岡さんの働く姿を尊敬し、息子も同施設で働くようになった。事件を受け息子は「本当であるなら許せない」と話しているといい、寺田施設長は「(息子さんは)波田野さんとも親しかったと思う。そういう意味でも複雑なのでは」と心境を思いやった。

 寺田施設長から見ても、波田野容疑者と山岡さんの関係は「良好に見えた。毎日会話していた」。ただ、今年に入って2人にトラブルがあったという。寺田施設長も心当たりがあるが「亡くなるような被害を受けることではない」という。

 2月5日夕方に車同士の正面衝突事故で山岡さんは死亡。事故の一報が施設に入ると、波田野容疑者も病院に駆け付け、同僚と抱き合って「なんで死んじゃうの」と泣いていたという。

 施設では恒例行事が中止になるなど、今も事件を受けた混乱が続く。「山岡さんに全部頼り切っていた。『彼女がいてくれれば』と思うことばかり…」。寺田施設長は肩を落とした。

 一方の波田野容疑者も、入居者から「面倒見がいい」との評判を受けていた。以前の職場からも「いい職員だった」との声が聞かれており関係者には動揺が広がる。寺田施設長は「波田野さんも大切なスタッフだった…」と声を詰まらせ「事件の真相が分かるといい」と訴えた。