ここから本文です

〈民生委員100年〉通学路で見守り 地域ぐるみで子育て

8/2(水) 9:53配信

福祉新聞

 民生委員は児童委員を兼ねており、各地の小中学校の通学路で見守り活動を行っている。登下校時にいつも顔を合わせることで子どもたちから「おばちゃん」「おじちゃん」と親しまれ、学校などと連携した地域ぐるみの子育て支援にも発展している。

 千葉県流山市の東深井小学校(児童数669人)の通学路では、東深井中学校区民生委員児童委員協議会の民生委員9人と地域のボランティア26人が子どもたちを見守る。

 「おはよう。今日の髪型かっこいいね!」「昨日やきとり屋さんにいたでしょ?」。登校してきた子どもたちに声を掛け、たわいのない会話から様子をうかがい、「行ってらっしゃい。気を付けて」と見送る。

 大野トシ子・同区民児協会長が人数把握のために持っているカウンターを押すのが子どもたちの楽しみの一つ。「今日何番? 昨日より早い!」と元気な声が響く。

 平田義高校長は「見守りありきではなく、おばちゃん、おじちゃんと触れ合うことが大きい」と話す。

 同区民児協が見守り活動を始めたのは平成10年ごろ。市民児協として1日10~100人の子どもたちに声を掛ける運動も行った。子どもたちと顔なじみになると、近所で親と一緒にいる時に親にも話しかけやすく、次第に顔なじみの関係ができていく。それが子育て支援にもつながる。

 地域の関係者が集うネットワークや学校行事などを通じて、常に地域の子どもたちの情報を交換。学校側が子どもの家庭について民生委員に尋ねたり、逆に民生委員が気になった子どもの様子を学校側に伝えたり、そうした重層的な見守り体制ができている。

 「私が数日見守りに立っていなかったので病気ではと心配してくれた子がいた。『おばちゃんだって僕が休むと心配してくれるからそのお返しだよ』と言われ、涙があふれた」と大野会長。ほかにも多くの子どもたちから感謝の気持ちをつづった手紙も届いている。

 今年3月、隣の市で小学3年生が殺害される事件が起き、通っていた学校の保護者会の元会長が逮捕された。しかし子どもたちに大きな動揺は見られないという。

 平田校長は「この事件はあくまで個人的な特異なものであり、不必要に恐れることはない。萎縮するより誤解のないようにしたい」と話す。民生委員の猪狩和子さんも「個人情報保護もそうだが、とらわれすぎると活動できない。自然体で今まで通り活動していく」と前を向く。

 市民児協では独自に市内全25の小中学校の夏休みの宿題で「家族の絆」をテーマに標語を募り表彰している。昨年度は「携帯の画面を見ずに顔をみて」「手をつなぎ心もつなぐ家族の絆」が最優秀賞に選ばれた。大野会長は「標語に悩みのシグナルが隠れていることもある」と、ここでも目配りを忘れない。

 「私のことを覚えていますか。小学1年生から通学路で大野さんと話すのが楽しみだったんです。今度、結婚します」と声を掛けらたことを大野会長は「民生委員冥利みょうりにつきます」と顔をほころばせる。

 大野会長は民生委員になって37年。人生の半分を民生委員活動に費やしてきた。全国民生委員児童委員連合会では副会長を務め、後進の育成にも心血を注ぐ。「民生委員は一人で抱え込まないで先輩や仲間に相談してほしい。あなたに相談して良かったと言われるまで続けてほしい」と話す。

 民生委員制度は次の100年に一歩を踏み出した。「地域の事情に合わせて地域の担い手としてこれからも活動に励んでいく」と大野会長は力強く語る。

最終更新:8/2(水) 9:53
福祉新聞