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まるで宇宙への発射台? 「空へ続く線路」正体は日本唯一の鉄道橋

8/2(水) 16:00配信

乗りものニュース

現役で「開閉」する日本唯一の鉄道橋

乗りものニュース

 線路が、まるで「宇宙への発射台」のような場所があります。三重県四日市市の千歳運河にかかる末広(すえひろ)橋りょうです。貨物列車が走る、JR関西本線の通称「四日市港線」と呼ばれる線路の途中にあります。

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 この橋は水面から近く、そのままでは船の行き来が困難。そこで橋げたの一部を跳ね上げられるようにし、船も列車も通れるようにしたもので、「可動橋」と呼ばれます。列車の通過時刻が近づくと橋げたが降りて「線路」が出来上がり、貨物列車が通過していきます(最初から降りたまま列車が通過していく場合もあり)。

 現役で“開閉”している鉄道用の可動橋は、日本でこの末広橋りょうのみ。完成は1931年(昭和6年)12月です。橋の長さは約58m、幅は約4m、主塔の高さは約16mで、跳ね上げたとき、線路は約80度の角度で「宇宙」を向きます。

 工業都市として知られる四日市。同市はこの橋を「四日市港の発展過程のなかで、陸上輸送と運河舟運が拮抗していた時代を物語る典型的な土木構造物であり、四日市旧港港湾施設とともに、我が国の港湾の近代化を示す代表的な施設」としています。

 四日市市観光協会によると、珍しいこの橋の写真を撮りに来る人は鉄道ファン以外にも多いそうで、市販ガイドブックに必ず登場するなど、同市の産業関連観光スポットで特に重要な位置づけになっているそうです。

 この末広橋りょうは1998年(平成10年)12月、近代化遺産建造物として「国の重要文化財」に、2009年(平成21年)2月に経済産業省が認定する「近代化産業遺産」に、2015年(平成27年)7月に日本機械学会の「機械遺産」になっています。

 なお、末広橋りょうを通過する列車の本数は少なく、走らない日があるほか、橋げたが降りたままになっていることもあります。場所はJR四日市駅から約1km、近鉄四日市駅から約2km南東の地点です。

※見学の際は、線路や私有地へ立ち入らないよう注意し、列車の安全運行などに十分配慮してください。

恵 知仁(鉄道ライター)