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お香専門店の猫店長「ジジ」 ご褒美のマタタビの香りにうっとり

8/2(水) 11:02配信

sippo

 富山市中心部から車で約20分の住宅街に、日本香・天然石念珠専門店「癒しのお香 香華楽」がある。“店長”は「ジジ」という7歳のメス猫。昨年末には新スタッフとして生後10か月の「花ちゃん」(メス)が加わった。2匹は来店する客にさりげなく寄り添って甘え、猫が苦手な客に対しては距離を置いて見守る。完璧な接客のご褒美に店主の長澤華奈さん(44)が、マタタビのお香をたくと、ジジはうっとりとした表情を浮かべた。看板猫2匹、なかなかの働きぶりである。

【写真特集】店長「ジジ」と「花ちゃん」

 長澤さんが「香華楽」をオープンしたのは2010年8月のこと。その年の5月に友人が公園に捨てられていた猫5匹を拾ってきたうちの1匹をもらい受けたのが、ジジだった。手・足先がソックスをはいたように白いのが特徴で、グレーの体には薄くトラ柄が浮かんでいる。開店の準備に忙しい中で思い悩んでいた時期、ジジは愛らしいしぐさで長澤さんを和ませてくれた。

「若いころに心を癒し、ストレスを解消してくれたのが日本香でした。富山でお香を広めたいと開業を思い立ったけれど、地方都市の住宅街に店を構えてお客さんが来てくれるか心配でした。多くの人に手伝ってもらいながら店の内装を整えていた時、ジジは『私もお手伝いしています』という様子でずっとそばにいてくれました」

 長澤さんは日本香を販売するだけでなく、線香、防虫香、練り香などを作るワークショップを開催したり、香木をたくなどさまざまな香りの楽しみ方を伝授したりするなどの活動を続けてきた。店のチラシやカードなどにはジジ店長のイラストを印刷している。開店から7年、ジジ店長はマスコットキャラクターとしてすっかり定着した。

 開店当初、ジジの相棒は老猫のナナ(メス)だった。2016年7月にナナが15歳で亡くなった時、ジジは火葬した後の遺骨の周りから離れなかったそうだ。長澤さんがナナの遺骨を共同墓地へ移すと、遺骨を探して回ったという。ジジのあまりの落胆ぶりを見かねて、かかりつけの動物病院で保護していた子猫をもらい、「花ちゃん」と名付けた。

 花ちゃんは三毛猫で、ジジとは出会ったころからすぐに仲良くなった。「花ちゃんは獣医さんのところで3カ月間、犬と一緒に育ったので、時々『ワン』と鳴きます。ジジを見習って人見知りせず、お客さんにすぐ懐くようになりました」とのこと。ジジ店長の教育により、花ちゃんは即戦力として店に貢献。2匹のおかげで「猫がいるお香屋さん」としてたびたび、地元のマスコミに取り上げられてきた。

 ちなみに、三毛猫と長毛種のミックスと思われる花ちゃん、真夏に長い毛では暑いので、長澤さんの手でカットしている。30代のころ、2年間ほどトリマーをした経験があるという。「トリミングしたのはほとんど犬です。私がカットすると後ろ姿が猫みたいになったとよく言われました」と苦笑い。長澤さんの猫愛あふれる店の中には日本香だけでなく、猫にちなんだ置物や、猫の絵が入った商品も並んでいる。

 お香と猫、いずれも癒しを与えてくれる存在であり、香華楽ではその二つが合わさり相乗効果が生まれている。仏事用の線香を買い求めに来た客が「昨年亡くなった愛猫にもお線香を上げるわ」と言って帰ったり、長澤さんがお香をペットの臭い対策の芳香剤として活用する方法を伝授したり、ペットロスになった客の相談に応じたり……さまざまである。

「ご高齢の方が飼い猫を亡くし、『もう、うちでは猫を飼えないから』とジジ、花ちゃんとの触れ合いを楽しみにして来店されるケースもあります。お客様の人生相談、猫の相談、いろいろ承っています」と長澤さんは開店以来の歩みを振り返る。

 営業時間中、看板猫2匹は店内を動き回って接客し、なかなか忙しそうである。ひと息ついたジジ店長は、マタタビのお香をたいてと長澤さんにおねだり。猫にも癒しは必要なのだろう。

sippo(朝日新聞社)

最終更新:8/2(水) 11:02
sippo