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ゆとり教育が「ブラック部活」を生んだ

8/2(水) 13:03配信

ニュースソクラ

【ニュースソクラ編集長インタビュー】『ブラック部活動』を出版する内田名大准教授

 部活動の「ブラック化」が進んでいる。自主的なはずの部活動が過熱し、休日も取れない。教師も生徒も悲鳴をあげている。部活優先で夫が家庭にいない「部活未亡人」という実態もある。

 部活動のブラック化はなぜ起こり、それを推進してきた学校文化とはどういったものなのか。『ブラック部活動』(東洋館出版社)を7月末に出版する、名古屋大学准教授の内田良氏に聞いた。(聞き手はニュースソクラ編集長・土屋直也)

――内田さんが、部活動のブラック化に注目されたのはなぜですか。

 私の研究の原点は「苦しみに向き合う」ことで、これまで児童虐待を出発点に、子どもの苦しみを研究してきました。その中で、子どもが学校で命を落としている原因は何だろうと調べて浮かび上がってきたのが、柔道事故です。

 30年間で約120人もの子どもが亡くなっていた。それをきっかけに、学校で行なわれるスポーツの主要な部分を占める部活動に、関心が移っていったんです。

 部活動中の事故やハラスメントというのは、基本的には子どもは被害者で、先生は加害者とみなされます。ところが、その枠組みで論じられると、先生や学校が聞く耳を持たなくなる。先生も学校も、加害者として責められるばかりですからね。

 私が子どもの安全・安心のために働きかけ、改善していたいのはやはり先生なのですが、他方で、「内田は私たち教師達のことを加害者だと言っている」と思われてしまっては、私の話を聞いてもらえないし、それでは本当に救いたい子どもたちの状況を変えることができない。

 ですから、子どもの安全を確保するためにこそ、現場にいる先生に、話が通じるようにしたほうがいいと思い、部活動における教師の負担について言及しはじめたのです。

 もちろん、以前から先生たちの「苦しい」という声は聴き続けてきましたし、実際にデータを探ってみると、たくさん問題点が浮かび上がっていたのです。

――本書の中で、子どもの個性を総合的に評価しようとする「ゆとり教育」で部活動が評価の対象になり、試合に勝つためにブラック化していったという記述には、なるほどと思いました。

 もちろん仮説で、実証的なものではありませんがね。ゆとり教育というのは、言い換えれば、子どもが単にテストで何点とるかだけではない評価のありかたを模索したわけです。

 子どもを、詰め込み教育の成果ではない観点から見ていこうよとなったときに、学力以外の評価として「部活動が大事だ」という話になり、それが当然入試とも関係していった。学校で教科指導以外で行なわれている大きな活動は、部活動しかないですから。それで部活動が肥大化してしまったと思います。

 このことは、研究というレベルでは書けないことで、繰り返しますが仮説にすぎません。もっと厳密に分析されるべきテーマです。でも子どもも先生も部活動で苦しんでいる現状では、仮説としてでも訴え、改善してもらうための議論のたたき台にしてもらわねば、という使命感や強迫観念がありました。

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最終更新:8/2(水) 13:03
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