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会社を辞めた若手IT技術者が「研修費用60万円を返せ」と訴えられた話

8/2(水) 20:19配信

BuzzFeed Japan

ITエンジニアの男性(32歳)は2016年3月末、都内のIT企業を退職した。すると2016年10月5日、男性は「貸し付けた研修費用、約60万円を返せ」と会社側から訴えられた。男性は返済義務がないと反論し、2017年2月に逆に会社を訴え、東京地裁で裁判になっている。何が起きているのか。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】

経緯はこうだ。

この男性は、IT系専門学校を2006年3月に卒業し、ウェブデザイナーとして働いていた。男性は結婚して子どもが生まれたことなどもあり、転職を決意。2015年初めに「未経験者歓迎」のネットワークエンジニア募集の広告を見て応募し、2015年4月1日に正社員として都内のIT企業に採用された。

男性はこの時、他の企業から、年収が50万円以上高い条件で内定をもらっていたとBuzzFeed Newsに話した。しかし、より研修制度が充実していると感じたので、この企業の方を選んだのだという。

この会社は、大手サイトの求人広告で次のようにうたっていた。

「未経験からはじめられる」

「『ネットワークって何?』というあなたのために、入社後2カ月の研修期間があります」

「入社後2カ月は研修センターで教育を受けて頂きます」

ウェブデザイナーとしての道を断念し、ネットワークエンジニアとして新たな一歩を踏み出そうとしていた男性にとって、このような言葉は魅力的に映ったのだという。

「有料」だった研修

ところが、男性は入社が決まった後に、この研修が「有料」だったと知って驚いたという。男性が見た求人サイト上では、研修については大々的にアピールしてあったが、研修が有料であることや借り入れや返済のルールについては、全く書かれていなかった。

2015年4月6日に示された「研修に関する誓約」には、「ネットワーク基礎」「CCNA資格取得コース」などとして、研修費56万8500円を自分が「無利子で借り受ける」と書かれていた。

ただし、この費用は男性が退職するまで、毎月60分の1ずつ支払ったとみなす……つまり60カ月(5年)在籍すれば無償になるという契約だった。

男性としては、この書類に「サインせざるを得ない状況だった」と話す。

当時、他社の内定を蹴って、入社を決めた後だった。同じタイミングで入社した同期8人もみなサインをしていた。男性は中途入社で配属先も決まっており、その状態では研修を断れないと感じた、というのが男性の話だ。

また、同社の就業規則の「教育訓練」を定めた部分には、こう書かれているという。

《従業員は、会社が行う教育訓練には必ず参加しなければならない。》

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最終更新:8/2(水) 20:23
BuzzFeed Japan