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【いま大人が子供にできること(50)】 断トツおすすめの「お仕事図鑑」に新版が登場

8/2(水) 16:00配信

ニュースソクラ

子供の本は、「安い本」にこそ良書が多いことを知る

 以前にも一度書いたことがあると思いますが(【いま大人が子供にできること(6)】)、いまの低学年女子の大きな関心事の一つは“仕事”です。

 たいていの女子は現実的で、普通、二十歳を越える頃には老後のことを考え始めます。

 女性のからだは、本当に徐々に衰え始めるので、ずっと頑丈で、あるとき一気に崩壊することが多い男性より、からだのことには敏感にならざるを得ず(なにせちょっとしたことで調子悪くなるので)気がつきやすいのかもしれません。

 低学年男子は当然ながら、ほぼ、仕事のことなんか、考えていません。
 いまだに将来なりたい職業は、プロ野球選手、プロサッカー選手、ユーチューバーなんだからね……。

 でも女の子は、自分はこの先どうやって食べていけばいいのだろうか、を本気で心配しているのです。
 それも一年生から……です。

 この西東社の実用書シリーズは以前から人気があって、高学年女子には引っ張りだこなんですが、ついに今年、一年生がこの本をリクエストしてきた、という図書館がありました。

 さいさんいっているように、今年の一年は素晴らしく賢い……。
 しっかりしている上に、ネットよりも本で!
 情報を取りたいと思っているところまでたどりついているように見えます。

 まあ、リクエストは全部ひらがなだったそうですが……(笑)。

 この本は素晴らしくよくできていて、いま使えるお仕事図鑑のダントツおすすめ一位です。
 さすが、お目が高くていらっしゃる……(笑)。

 本というのは不思議な商品です。
 普通は、その商品の値打ちと値段はみあいます。
 1000万のダイヤモンドに10万の値がつくことはありえないでしょう。

 ところが本は、世界の名著がたったの650円で手に入ったり、2800円もする本が使えなかったりするのです。

 子どもの本の場合は、むしろ安い本のほうがレベルが高いと思ってもいいくらいで、なぜかというと、安い本は本屋で、じかに子どもたちにおこづかいで買ってもらわないとなりません。
 子どもたちの少ないおこづかいで……、もしくは必死になって親にこれを買ってほしい、とねだってもらわないとならないので、必死になって作るのです。

 でも、2800円で学校図書館や公共図書館に買ってもらうために作っている本は子どものことはあまり考えていないように見えます。
 先生や司書に選んでもらえればオーライなのですから……。

 ですから高い本は使いにくいが、安い本は子どもたちが自分で読め、かつ、魅力的でよく考えられていて読みやすく使いやすい……つまり、いい本だ、ということが起こり得るのです。

 この本は、イラストばっちり!
 (そういえば、女の子の本はピンク、だった時代にいちはやくエンジェルブルーに変えてきたのもこのシリーズだったと思います。ついでにキラキラもつけてね)

 女の子の仕事としていままでにはなかったものも結構入っていたと思います。

 もしお嬢さんがいらっしゃったら、そして将来、学者になる、というタイプでなければ(たいていの学者タイプの人は世俗の仕事には興味がないのです)喜んでくれるお土産になる、と思います。

 そうして、その本には書いてないこと……たとえばどういうルートをたどればその職業につけるのか、とか、それにはいくらくらいお金がかかるのか、とか、これはどういう仕事なのか、とか、聞かれたら話してあげてください。
 漢字が読めなくて難儀していたら、ここ読んで~、というところを読んでやってください。

 なにも寝る前の読み聞かせは物語や絵本でなくてもかまわない……。
 こういう本で将来の計画をたてる、のもいいでしょう。
 ほかの本と読み比べる……ということを教えてもいいでしょう。

 『クレヨンしんちゃんたのしいお仕事図鑑』(双葉社)には同じ仕事についてなんて書いてあるのか……、しんちゃんには載ってなくて、こっちに載っているのはなにか……。

 いまの小学校がやらなければならなくなった“探求型の学習”のやりかたの手ほどきも、夜寝る前にこういう本を使ってやることができるのです。
 学校の水泳の授業だけで泳げるようになるのは難しいのと同じように、学校の授業だけで探求型の学習ができるようになるのは難しい……。

 お子さんを休みの時にプールに連れていってあげるように、日々の会話のなかでさりげなく、考え方ややりかた、をレクチャーしてください。
 仕事はそのかっこうの材料の一つです。

■赤木 かん子:いま大人がこどもにできること(本の探偵)
1984年、子どもの本の探偵としてデビュー。子どもの本や文化の評論、紹介からはじまり、いまは学校図書館の改装からアクティブラーニングの教えかたにいたるまで、子どもたちに必要なことを補填する活動をしている。
高知市に「楽しく学校図書館を応援する会」として学校図書館モデルルームを展開中……。
著書多数。

最終更新:8/2(水) 16:00
ニュースソクラ