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ベイスターズのネット動画中継が大盛況 12球団トップの5社が配信中

8/2(水) 8:02配信

カナロコ by 神奈川新聞

 初の本拠地でのクライマックスシリーズ開催を目指すプロ野球、横浜DeNAベイスターズのインターネット動画中継が大盛況だ。今季から若者に人気の「AbemaTV」も加わり、12球団トップの5社が配信中。変貌する観戦スタイルに合わせながら、新たなファン開拓につなげようと模索している。

 ファン歴9年、横浜市内の大学に通う飯沼祐貴さんにとって、ネット配信での試合中継は欠かせないものだ。学校帰りの電車内ではスマートフォン、市内の自宅に戻るとパソコン画面でお気に入りの選手の活躍を見守る。

 「解説もちゃんとしているし、どこでも見られることが便利」。コメントを書き込む欄もあり、球場で応援しているような感覚で多くのファンと瞬間を分かち合えるライブ感も気に入っている。

 父親がビールを片手にテレビで主にナイター中継を観戦する姿は、かつては日本中で見られた光景だった。しかし、ゴールデンタイムの主力番組だった巨人戦中継は激減。かつては巨人戦の放映権料が1試合1億円を超えて球団収入の柱とされたが、今季のベイスターズの主催試合で、地上波のナイター中継は1試合にすぎない。

 親会社がテレビ局のTBSからIT企業のディー・エヌ・エー(DeNA)に代わった2012年以降、球団は試合の動画配信を積極的に進めてきた。DeNAとして「SHOWROOM」でも自社配信するほか、「ニコニコ生放送」や英「パフォーム・グループ」などと全主催試合の包括契約を結んだ。今季からは「AbemaTV」でも全71試合の無料配信がスタートした。

 放映権料は非公表だが、億単位の収入となった地上波には及ばない金額という。それでも球団は、配信中の5社合計で延べ数千万人とも言われるユーザーの多さや、従来の野球ファンとは異なる層へのアプローチに可能性を見いだしている。担当者は「テレビで全国区を誇った巨人のように、ネットではベイスターズを見て育った世代を増やしていきたい」とネット配信事業が生み出す伸びしろに期待する。

 「AbemaTV」などでは、視聴者のコメントに応じて、解説者が片方のチームに肩入れしたり、提供される情報に反応して視聴者同士がエピソードトークを展開。その風貌から「プーさん」と親しまれる宮崎敏郎選手の打席になると蜂蜜の絵文字が並んだり、野球に関心がなくても楽しめる仕掛けを試みている。

 「AbemaTV」は昨春開局したばかりだが、アプリのダウンロード数は1900万に到達。ベイスターズ中継に参入した理由を、運営会社は「球団経営が一気に黒字化された勢いや、筒香嘉智選手をはじめ若手が多いから」と説明。そもそもテレビの野球中継を知らない世代にとって野球の映像自体が新鮮で、「スマートフォン中心の生活様式の若者にとっては新しい体験。野球のコンテンツには力がある」という。「AbemaTV」では1試合平均で約60万のアクセスがあるが、今後も伸びていくとみている。

 球団の岡村信悟社長(47)は「まだ試行錯誤の段階だが、いずれはインターネットで中継に触れたアジアや欧州の人が横浜を訪れるきっかけになる可能性だってある」と話している。