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社説[籠池夫妻逮捕]安値売却の根幹に迫れ

8/2(水) 7:15配信

沖縄タイムス

 学校法人「森友学園」前理事長の籠池泰典容疑者と学園の幼稚園副園長を務めていた妻の諄子容疑者が、大阪地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された。

 小学校建設にあたり工事費を水増しした工事請負契約書を国に提出し、補助金約5600万円をだまし取った疑いがもたれている。

 この問題では金額の異なる3通の契約書の作成が明らかになっている。国土交通省の補助金申請に提出したのは最も高い約23億8千万円の契約書。特捜部は約15億5千万円と記された契約書が正しいと判断している。

 籠池容疑者は3通の契約書について、当初「いずれも正しい」と説明。国会の証人喚問では「刑事訴追の可能性がある」と答弁を拒否。その後、最も低い約7億5千万円が正しいと主張するなど、話がコロコロ変わった。

 額といい、手口といい、国民の税金である補助金をだまし取ったことが事実だとすれば、悪質性は高い。

 学園が運営する幼稚園を巡っては、教員や障がいのある子どもの数を偽り、大阪府の補助金を不正に受け取った疑いもある。 

 大きく金額の異なる契約書の不正を、行政は事前の審査で見抜くことができなかったのか。

 補助金不正の解明とともに、それを入り口に小学校用地として学園に売却された国有地の不透明で不可解な取引に切り込むべきだ。

 森友問題の核心は、言うまでもなく8億円余に上る国有地の値引きに、何らかの力が働いたかどうかである。

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 国有地売却で焦点となっているのは、小学校の名誉校長に就任していた安倍晋三首相の妻、昭恵氏の存在だ。

 夫人付の政府職員が国有地について学園側の要望を受け、財務省に照会していたことが判明。学園側との土地取引で財務省担当者が「特例」と発言した音声記録も残っている。

 証人喚問で籠池容疑者は格安で小学校用地を手に入れた経緯を振り返り「神風が吹いた」と語った。

 昭恵氏の存在が財務省側の忖度(そんたく)につながり、学園が優遇されたのではとの疑念が消えない。

 財務省は適正な売却であるとの主張を続け、交渉記録は「破棄した」と説明する。財務省と学園との交渉の精査が不可欠にもかかわらず、説明には後ろ向きだ。

 昭恵氏も口を閉ざしたままである。

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 特捜部は、国有地を不当に安い価格で売却し国に損害を与えたとして近畿財務局幹部らへの背任容疑の告発も受理している。国民の財産に関わる問題であり、全容解明に力を尽くしてもらいたい。

 森友問題は「国家の私物化」が疑われている点で加計(かけ)学園問題とつながり、記録がないという点では自衛隊日報問題と重なる。内閣支持率を押し下げた要因がここにあることを、安倍政権は忘れたわけではあるまい。

 神風の正体は何なのか。昭恵氏らの国会招致をいま一度求めたい。

最終更新:8/2(水) 7:15
沖縄タイムス