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【F1ハンガリー無線レビュー】実力で勝ち取った6位にアロンソ「週末を通して全てが良かった」

8/2(水) 11:42配信

オートスポーツweb

 獲るべくして獲った、そんな6位だった。マクラーレン・ホンダのフェルナンド・アロンソは、7番グリッドからスタートしたがカルロス・サインツJr.に抜かれ、ダニエル・リカルドのリタイアがあったにも関わらず7位に留まっていた。 

F1第11戦ハンガリーGP 6位チェッカーを受けるフェルナンド・アロンソ

マクラーレン(以下、MCL)「セーフティカーだ。デルタタイムに合わせて走ってくれ。コース上にオイルが出ているかもしれない。ターン3でRIC(ダニエル・リカルド)が止まっている。その改修作業中だ」

アロンソ(以下、ALO)「あぁ、RICのクラッシュを避けるためにSAI(カルロス・サインツJr.)にポジションを奪われたんだ」

 事故処理のためのセーフティカーが解除された6周目、アロンソはリスタート直後のストレートで前のサインツを追い詰めるがターン1でインを抑えられ、出口でアウトに押し出されてしまう。

ALO「彼(SAI)はターン1の出口で僕にスペースを残さなかった!」
 アロンソは何度かチームに抗議要請をした。

ALO「OK、もうこれ以上は議論すべきじゃないだろう。もう一度レースをやり直すことはできないんだからね」

 いつの間にかサインツとのギャップは4秒にまで広がってしまった。ピットストップでアンダーカットを仕掛けるにはこの差を縮めなければならない。

MCL「ペースを上げてSAIとのギャップを縮めていこう(4秒に)。さっきのラップはSAIの方が0.8秒速かった」(12周目)

 ここからアロンソはペースを上げ、サインツとの差を徐々に縮めていく。


MCL「さっきの周はSAIと同じペース。PERは1.5秒後方」(14周目)

MCL「この周はSAIより0.15秒速かった。ギャップは3.9秒になった」(16周目)

MCL「SAIと同じペースだ。ギャップは2.4秒。リヤタイヤの温度に気をつけろ」(21周目)

 再三の講義でスチュワードはサインツの押し出しを審議対象としたものの、裁定の結果はお咎め無しだった。

ALO「あのアクションに対してペナルティは?」

MCL「お咎めなしの裁定だ。レースに集中してピットストップで彼を捉えよう。追い付いていけ。タイヤとフロントフラップの状況は?」

ALO「タイヤはまだ速さがある。フラップのセッティングも悪くないよ」

 ピレリの事前予想では、スーパーソフトは33周目前後のピットストップが最適なライフ。しかしそのタイミングが近付いてきても中団勢ではピットストップの動きが出てこない。後続とのギャップが充分に開いておらず、ピットインすれば彼らの渋滞のど真ん中に戻ってしまうため、マクラーレン陣営も走り続けるしかなかった。

 29周目アロンソがチームにまだかと聞く。

ALO「ターゲット(ラップ)をアップデートし続けてくれ」

MCL「了解。ターゲットは変わるかもしれない。今他車の動向を見ているところだ」

 チームはサインツをピットストップでアンダーカットするため、そして後続に引っかからないためにさらなるペースアップをアロンソに指示する。


「SAIとのギャップを縮めてくれ。PALが18.8秒後方だ」

 それでも3周後の33周目でもまだジョリオン・パーマーをピットウインドウの外に押し出すことができない。

MCL「PALとのギャップは19.4秒になった」

 そして34周目に後方のセルジオ・ペレスがピットインしたため、アンダーカットを防止すること優先して翌35周目にピットインを決断。サインツも同時に飛び込んだためサインツ逆転が難しいことは分かっていたが、二兎を追うよりもペレスにも前に行かれてしまう可能性を潰すことを優先したのだ。

MCL「BOX now、BOX now。PER(ペレス)がピットアウトした」

 あとはコース上で抜くしかない。新品タイヤを履いた直後が最大のチャンスだということが分かっていたアロンソはここで果敢に攻め、37周目のターン2~3でサインツを抜き去った。

MCL「ファンタスティックな追い抜きだ、フェルナンド! 前のPAL(ジョリオン・パーマー)は37周オールドのオプションタイヤを履いている」

 スタートからピットインせず走り続けているパーマーが立ち塞がる。この時点ではまだ予選でマクラーレン以上の速さを見せたニコ・ヒュルケンベルグとも順位を争っており、警戒していた。

MCL「PALはHUL(ヒュルケンベルグ)を助けるために使われるかもしれない。できるだけ速く彼を抜こう」

 43周目、各車のピットインのタイミングがズレたことでアロンソもライバルとの位置関係が見えづらくなっていた。


ALO「レース状況はどうなっている? どんなペースで走れば良いんだ?」

MCL「ここから数周はマキシマムペースで走ってくれ」

ALO「ずっとマキシマムペースで走ってるよ! これ以上で走れって言われても超難しいよ!」

 しかし45周目にピットインしたヒュルケンベルグの右フロントタイヤがなかなか外れずに大きくタイムロスし、逆転を恐れる必要はなくなった。サインツも追いかけては来ない。

MCL「HULはスローピットストップだった。これでもう脅威はなくなった。後はSAIだけ注視しておけば大丈夫だ」

ALO「前でバトルはない?」

MCL「あぁ、HAM(ルイス・ハミルトン)がフェラーリ勢を捕まえつつある。VET(セバスチャン・ベッテル)の1.3秒後方がRAI(キミ・ライコネン)、その1.2秒後方にHAMが迫っている」

 タイム的にはすでに1周近く遅れを取っているが、もし上位で接触や自滅があればポジションは6位からさらに上がる可能性がある。それを期待するだけだった。

MCL「残り10周。ここから先はトラフィックはもうないはずだ。マシンをマネージして持ち帰れ。HAMはまだFER勢とバトルをしている。だから何が起きるか分からないぞ」

 もちろん、無理に追いかけるのではなく、ポジションをキープして確実にクルマをフィニッシュまで持ち帰ることが最優先だった。


MCL「君より後ろは全車周回遅れになった。残り2周だ。最終ラップまでセーブしよう」

 しかしアロンソは残り2周の69周目にフルアタックを行なって1分20秒182を記録する。

MCL「ファステストラップだ、よくやった。これが最終ラップだ」

 上位勢がセバスチャン・ベッテルのスローペースに付き合わされていたからこその最速タイムとも言えるが、トラブルやミスによって6位をフイにする可能性を考えれば、必ずしも必要なアタックとは言えなかった。

 それでもアロンソはマシンをチェッカードフラッグまで運び、6位をチームに持ち帰った。マシンもドライバーも実力を出し切り、3強チームの生き残った5台には全く敵わなかったものの、中団グループを全て凌駕して本来あるべき姿を見せた。

MCL「OKフェルナンド、フラッグだ。P6。グレードドライブだった。我々にとっては6位以上の価値がある。SAIのオーバーテイクも素晴らしかった。そして最後にファステストラップも記録した。夏休みに向けて素敵なプレゼントになったよ」

ALO「みんなありがとう。良い戦略、良いピットストップだった。今週は週末を通して全てが良かった。テストとブレイクを楽しんでくれ!」

 こうしてマクラーレン・ホンダはその実力通りに中団勢の最上位、6位を獲るべくして獲ったのだった。


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