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ANA系OCS、新物流拠点「スカイゲート」公開 航空貨物強化、処理能力3倍に

8/3(木) 20:51配信

Aviation Wire

 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下で貨物事業を担うOCS(港区芝浦)は8月3日、首都圏の新たな物流拠点「OCS東京スカイゲート」(江東区辰巳)を関係者に公開した。

【新物流拠点「東京スカイゲート」】

 自動化により、航空貨物の取り扱いに掛かる時間を従来のの3分の1程度に削減。21日に本社をスカイゲートに移し、創業60周年を迎える9月1日から営業を開始する。

◆集荷時間後ろ倒しも

 OCSは、全日本空輸(ANA/NH)をはじめとするANAグループの貨物事業を担う企業。1957年9月に朝日と日経、読売、毎日の新聞各社の出資で設立された「海外新聞普及」が前身で、ANAは2009年3月に筆頭株主となった。社名は翌2010年9月に現在のOCS(英語名OVERSEAS COURIER SERVICE CO.,LTD.)に変更した。

 現在は新聞や雑誌、書籍の海外配達のほか、ビジネス書類や商品サンプル、食品や日用品などの小口貨物も扱っている。これまでは芝浦の本社と新木場オペレーションセンター(江東区新木場)と事業所が二つに分かれていたが、羽田と成田両空港への利便性を考慮したスカイゲートに集約する。

 OCSの福田哲郎社長は、「最新設備で貨物処理能力を向上させ、ビジネスの幅を広げる。リードタイムの大幅な短縮が可能」と述べ、翌日配達の最終集荷時間を現在の午後6時から7時台から後ろ倒しするなど、他社と差別化する施策を打ち出していくという。

 ANAは、2009年10月26日から那覇空港で沖縄貨物ハブを運用。ANAHDが4月に示した中期経営戦略では、貨物機事業について今年度の黒字化を目標に掲げており、スカイゲートと貨物ハブを活用し、航空貨物事業を強化していく。

◆所要時間3分の1

 スカイゲートは地上8階建てで、2016年5月着工。1階と2階が保税・サービスセンター、3階が倉庫と事務所、4階から6階が倉庫、7階と8階が事務所になっている。

 3日に公開したのは1階と2階で、床面積はそれぞれ2000平方メートル。1階は集荷車両を最大16台駐車でき、輸出入する荷物の荷さばきを担う。OCSは集荷車両を約80台保有しており、これまでは車が出入りした後に施設が遊んでしまう時間帯があったが、スカイゲートでは最大限活用できるようになるという。

 2階には、荷物の行き先などを読み取るバーコードリーダーや計量器、X線検査装置などが備えられ、輸出入が許可されたものは原則として1階に送られる。この時に、取り扱いが特殊な荷物は2階で振り分けられ、担当者が個別に対応する。

 OCSによると、1階と2階のマテリアルハンドリング(物品取り扱い)設備は、搭降載の効率化や省力化をコンセプトにしたという。1階の輸入コンテナを振り分けるエリアは、従来2台だったものを6台同時に対応出来るようにし、輸出は5台同時に扱えるようにした。1階の輸入貨物の受入エリアと輸出貨物の出荷エリアの床は、航空機に搭載する貨物コンテナを人力で簡単に移動できるよう、キャスターが付いた「キャスターステージ」を採用した。

 従来はひとつ一つの輸出入品について、作業者が伝票のバーコードをハンディースキャナーで読み取っていたものを自動化。構内処理能力は輸出入とも全体で約2.5倍から3倍向上し、配達時間のスピードアップや誤仕分けの低減、コスト削減が実現できるという。

 スカイゲートに輸入貨物が到着し、通関などを経て出ていくまでにかかる時間は、1品あたり約9分。輸出もほぼ同じで、従来は30分程度かかっていたことから、所要時間を約3分の1に短縮できる。

 ANAHDの片野坂真哉社長は「爆買いは沈静化したが、個人輸入が伸びている。OCSがアジアの物流業界をリードすることを期待している」と、スカイゲート開業に期待を寄せた。

Tadayuki YOSHIKAWA

最終更新:8/4(金) 10:00
Aviation Wire