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「子どもをハッカーに育成するイベント開催」米陸軍の支援で

8/3(木) 6:40配信

ZUU online

世界中のハッカーが集結し、ハッキングの腕前を競うコンテストやスピーチを行うハッキング・イベント「DEF CON(デフコン)」で、米陸軍が未来のセキュリティー専門家育成の一環として、ハッキングのスキルを8歳から16歳の子どもに教えていることが分かった。

セキュリティー企業Synackと提携し、オープンソース・ツールやコマンドライン・ツールを利用した、基本的な「初心者向けのエクスプロテーション(攻撃)」を教えているという。

■システムの脆弱性をハッキングで探す「ホワイト・ハット」

CNNの報道によると 、子どもハッカー育成所ともいえるワークショップ「r007アサイラム」 の指揮をとるのは、米陸軍サイバー・スクールで兵士にサイバー・スキルを教えているダニエル・リム中尉だ。子ども向けの教習とはいえ、実際に兵士に用いている訓練内容と大差はないという。

目的は「ホワイト・ハット」や「ホワイト・ハッカー」の養成である。「ホワイト」という名称から想像できるだろうが、システムの脆弱点を発見して管理者に報告する、いわゆる所謂「良いハッカー」を育成することで、自国のサイバー・セキュリティーの強化に役立てる意図だ。

サイバー・セキュリティー産業は既に人手不足が深刻化している領域のひとつで、最新の「国際情報セキュリティー労働力調査」では、「2022年までに180万人のセキュリティー専門家が不足する」と推測されている。

つまり国家をあげて未来のホワイト・ハットを育成するという、必然性に迫られているわけだ。

■デプコンの参加者の過半数が「r00tzアサイラム」目当て

デプコンの参加者の過半数がこの「r00tzアサイラム」目当てだという。元々はメッセージ・アプリ「Wickr」の設立者兼CEOであるニコ・セル氏が7年前に立ち上げたプログラムで、昨年は500人の子どもが集まったそうだ。

参加者はハッキング・スキルだけではなく、ハッキングに関する規制(どのようなハッキング行為が違法・合法かなど)についても学ぶ。

セル氏は「子どもにハッキングのスキルや知識を教えることは、セキュリティー・コミュニティーが提供できる重要なことのひとつ」とし、政府が重要な役割を担っている点を強調している。

■4億円を払ってペンタゴンにハッキングさせた政府

米国政府は未来のホワイト・ハット育成と同時に、現行のセキュリティー強化にも余念がない。

2016年末にはホワイト・ハットに報酬を出し、国防総省の内部システムの脆弱点を発見する3カ月のプロジェクト なども実施した。

このプロジェクトは「r007アサイラム」の提携先であるSynackと400万ドル(約4.4億円)で契約を結び、「ペンタゴンにハッキングさせる」というものだった。

「大金を支払ってハッキングさせる」「子どもをハッカーに育てあげる」「ハッカーの集まる大イベント」など、一瞬理解しがたい発想ではあるものの、実際にはテクノロジー化がすさまじい速度で進む現在・未来の社会を機能させて行く上で、欠かせない要素となるはずだ。

ハッキングによってセキュリティーの脆弱性を発見し、改善する。そのハッキングを行うスキルと知識を学ぶ機会を子どもに与える。ハッキングの情報・知識を交換、高める場を提供する。

こうした流れが、いずれ学校教育にも組みこまれるのかもしれない。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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最終更新:8/3(木) 6:40
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