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『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』発売記念! 担当編集者による最速インプレッション!!

8/3(木) 18:13配信

ファミ通.com

文:編集部 堅田ヒカル

●結末には、最高潮のカタルシスが待つ
 2017年8月3日に発売された『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』。本作は、『逆転裁判』に登場する成歩堂龍一の先祖である、成歩堂龍ノ介の奮闘を描いた『逆転』シリーズ最新作だ。本稿では、本作をエンディングまでプレイした記事担当編集者によるインプレッションをお届けしよう。
※本記事は、週刊ファミ通8月10日号(7月27日発売)に掲載されたものを編集、加筆、再構成したものです。

 前作『大逆転裁判 -成歩堂龍ノ介の冒險-』(以下、『冒險』)の発売から、早2年。この『冒險』は『冒險』で、事件はきちんと完結しているのだけど、その中で、非常に期待感を持たせる伏線が多く提示された。その点が、人によっては、物語が未完で、尻切れトンボだと感じたプレイヤーもいたかもしれない。

 そういう人たちは、本作『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』に対して、「本当に《謎》が解消されて、物語は決着するの?」という疑問を持っているだろう。まずは、その疑問に大声で答えたい。
 「めちゃくちゃスッキリするよ!!」
 ゲーム序盤では、前作にも登場し、その後の行方が気になっていた人物がいきなり被害者になっていたりと、謎はさらに深まる展開。新キャラクターで龍ノ介のイトコを自称する、成歩堂龍太郎が初めての法廷で、親友・村雨葉織のために熱く戦う。

 その後、舞台を倫敦に移し、過去の事件を回想する形で、夏目漱石の事件に取り組むことになる。ここでは、『冒險』にチラッと出ていたキャラクターの正体が明らかになり、伏線が“回収された感”を味わう初めての事件となる。ああ、なるほど。あのキャラクターはこういう役割で、ああいう場所にいたのか! この「ああ、なるほど!」という感じは、この後も立て続けに訪れ、凝り固まっていた疑問が解消されるスッキリ感は、本作の魅力そのものにもなっている。

 前作からの未消化の伏線(と呼ばれているもの)は、自分が見る限りではすべて回収というか、解消されていた。中には説明を簡便に済ませているものもあるけど、そこはそれでよかったと思う。重要なのは、コレに関して、もし仮にあなたがどこか別のところで、本作に関わる重要なネタバレを食らっても、それは本作の場合、致命傷にならない。むしろ、ネタバレを聞いたとしても、より中身が気になるようにできている。

「えっ? なに、○○が××になるなんて、それは……どういうこと??」

 と、むしろその展開を自分の目で確かめたくなってしまうだろう。『冒險』の続きが気になっている方は、ネットでネタバレを探すだけではなく(仮にネタバレを見てしまったとしても)、実際にプレイすることをオススメする。というのも、物語のタネ明かしを見るのが何より楽しく、続々と明らかになる《謎》と怒涛の展開に翻弄されることこそ、本作の醍醐味だからだ。

 物語の白眉は第3話以降。倫敦万博の会場で行われた公開実験の事故により、ドビンボー博士なる人物が窮地に追い込まれ、龍ノ介が彼を弁護することになる。同時に、倫敦の片隅にある蝋人形の館では、人形の《誘拐事件》が発生……。奇妙さと不気味さ、そして巨大な陰謀が見え隠れするこの事件から、物語は急展開を見せる。

 ここでぐっと心がつかまれ、さらに《死神》バンジークス検事が襲撃される衝撃のエピソードへと続くのだけど……息つく間もなくつぎからつぎへと飛び込んでくる事件、調査、裁判、次第に明らかになる《謎》の正体! 思いもよらない伏線、関係性、この上なくイカした演出! おっ、お前が、アノ、アレのあの人だったのかあ!! このあたりのスピード感とテンポのよさは特筆もので、ゲームにぐいぐい引き込まれて、遊ぶ手が止まらなかった。

 プレイを続け、時計の針が深夜を指しても、高まるボルテージに目は自然と冴え、夢
中で遊んでいるうちに夜は白々と明け、気がつけば街は光の中。夜が明けていた。この感覚、15年前にゲームボーイアドバンスで『逆転裁判』を遊んだときを思い出した。ゾクッとするような《謎》の提示、訪れる絶体絶命のピンチ、そして、みずからの選択が引き起こす逆転、大逆転。物語に丁寧に隠されていた秘密が、惜しげもなく、ダイナミックに明らかになっていく、背筋がゾワゾワとする、あの快感。あの興奮が、また味わえるとは!

 そして迎えるエンディング。すべての事件と謎に決着がつき、成歩堂龍ノ介がその《覺悟》を示す。詳細は割愛するが、「そうだよ、物語の結末ってのは、そうこなくっちゃあ!」と、思わず、明け方にひとり膝を打った(本当に自分の膝を叩いたのです)。

 ゲーム中盤からエンディングまで駆け抜けた後には、すさまじいカタルシスが待ち受けていて、興奮のあまりしばし放心状態になったほど。この感動は、『逆転裁判』シリーズの中でも、いや、僕が遊んできたゲームの中でも、屈指のもの。前作から2年間、続きを待った甲斐があった!

●そんなにベタ褒めして、大丈夫か?
 自信を持って言う。「大丈夫だよ!」。……とはいえ、これはあくまでインプレッション、つまりは僕個人の感想です。僕がこれほどまで大きな感動を得られた要因として、いくつかポイントを挙げて、“どういう人に本作をオススメしたいか”、“どんな人なら本作を楽しめるか”と思うところをお伝えする。

 まずは、前作を最後までプレイした方。もちろん『冒險』と『大逆転2』で、それぞれ完結しているものの、両方とも遊べば、その感動はより深まること間違いなし。続いて、日本の明治時代や夏目漱石、英国ヴィクトリア朝などが好きな人。19世紀末の英国倫敦の文化やゴチックさ、そして『シャーロック・ホームズ』シリーズを好む人には、ぜひオススメしたい。さらに、『逆転裁判』シリーズは好きだけど、そういえば『大逆転裁判』は遊んでいなかったなぁ……というあなた、そう、あなたですよ! あなたにぜひオススメしたい!! 最終弁論での“陪審バトル”など、本作独自の要素もあるけど(楽しいよ)、“証言にムジュンを見つけて突きつける”という基本的なルールと、プレイヤー自身が考えて真実に近づいていくドキドキ感はシリーズ共通なので、スッと入れるから。

 まして、主人公は成歩堂龍一の先祖である成歩堂龍ノ介。時代は違えど同じ“なるほどくん”、変わらぬユーモアと正義感、弱さと強さをあわせ持った主人公が、依頼者を信じ抜き、法廷で戦う。ピンチに思わず目が泳ぎ、ときに頭が真っ白になり、それでも、寿沙都さんを始めとした仲間に支えられながら、あきらめずに立ち向かうかっこいい姿は、『逆転』シリーズ共通だ。

 エンディングまでのプレイ時間は、『冒險』も『大逆転2』も20時間から30時間といったところ。2作続けてプレイすると、単純計算で40~60時間かかることになるので、アドベンチャーゲームとしてはかなりの大作ということになるけど、進むにつれ加速する物語に、時間はあっという間に過ぎ去ることだろう。おもしろいから、むしろおトクだ(やや強引)。

 最後に、本作がどんな物語だったかを改めて言うと、海を渡り、時をかけ、シャーロック・ホームズや夏目漱石なんて過去の偉人も出てきちゃって、最終的にはなんだか巨大な規模の陰謀を感じさせる、スケールの大きな物語。そうか、この話はこんなに、複雑で、豊かで、意外で、楽しく、怖くて、練り込まれた物語だったのか。最後まで遊び終えたときの感動も、物語の壮大さと等しく、ひと際大きなものだった。そうして振り返って、本作のタイトルを眺めて、しみじみと、ああこのゲームは、この題がやはりふさわしいのだと、納得せずにはいられなかった。

 『大逆転裁判』。大きな逆転、大きな物語。
 僕はこのゲームがとても好きだ。“大”好きだ。

●ゲームの細かな改善点や、個人的にツボだったところも
 あとは、本作の小さな改善点や、個人的に“ツボ”だった細かな感想などを書き連ねておこう。人によっては瑣末なことと感じる内容もあるかもしれないので、お手すきのときにでも読んでいただければ幸いだ。

 本作で進化している点のひとつに、文章の早送り(スキップ)機能がある。とくに、『大逆転』以前のシリーズ作品では、未読の文章はスキップできなかったけれど、本作ではセーブ画面の“設定”から、早送りが設定できるようになっている。とはいえ、これは前作『冒險』でも可能だった。本作でさらなる進化を見せているのが、“文章を早送りしてもキャラクターの動きが飛ばされず、きちんとアニメーションする”という点。

 文章で書くと地味なように見えるが、実際に触ると、これが非常にうれしい変化なのだ。つきつける証拠品を何度も間違えてしまうときや、改めて状況を説明するセリフを読む際などに、早送りで読んでも、きちんとキャラクターが演技をしてくれるので、とても感情移入がしやすい。漱石の奇抜な動きも、アイリスの愛らしい表情も、きちんと見ることができ、とても楽しい。とくに漱石が両手を前に出して小刻みに震えるところなんかは、早送りで読むとさらに素早く震えて、思わずこちらにも漱石の焦燥と不安が乗り移ってくるので、一度試してみてほしい。

 そもそも“未読文章のスキップ”機能を入れたのは、演出やセリフの出しかたを凝りに凝っている『逆転裁判』シリーズだけに、制作陣にとっては苦渋の決断という面があったかもしれないが、結果的に大英断だったと個人的には思う。

 文章を読む行為というのは、自分のペースでやらせてもらえないと、じつは思った以上にストレスがあるようで、これまでは感じなかったけど、本作でのノンストレスっぷり、快適さを実感してしまうと、もう戻れないと感じるほどだ。と言っても、すべての文章をスキップするのではなく、じっくり読みたい緊迫した展開のときや、トリックを解く重要なヒントになりそうな台詞が流れているときは自然とスキップせずに読んでいる。要するに、プレイに自分でメリハリがつけられるようになっているのだ。(とくにアドベンチャーゲームの場合、テキストを読むことは、ゲームプレイのもっとも重要な部分だ)。

 また、細かな進化といえば、Yボタンですぐにバックログを読めるようになっており、この機能も(地味だけど)とても便利。こういった細かな配慮や進化は、本編でも垣間見られた。さりげない親切さ、不自然じゃない視線の誘導やテキストから読み取れるヒントにより、「ダメだ、ここがどうしてもわからない!」と詰まることがなく、最後まで快適に遊べた。これって、じつはすごいことだと思う。

●とても心に残った細かな点をいくつか紹介
 最後に、僕の個人的嗜好にグッと刺さったところと、個人的嗜好のうえで不満だった点を何点か書き残しておこう。

 まずは、記事冒頭でも紹介した龍太郎と村雨葉織の関係性。じつは彼女たちは、はしょって言うと親友どうしなのだけれど、羽織が龍太郎にときめいて目を輝かせたり、友情関係や恋愛感情を好む一部の人にとってはとてもうれしいような展開が、ものすごくほのかに香っている。これは、アートディレクターの塗和也氏が、週刊ファミ通2017年8月17日号(2017年8月3日発売)のインタビューでふたりの関係について“龍ノ介と亜双義のような関係性を彷彿とさせるイメージ”とも語っているように、いわゆる“キャラ萌え”、“関係性萌え”をする層には、より楽しめる点ではないだろうか。さらに言うと、前作で離れ離れになった龍ノ介と寿沙都の関係性の描かれ方も深まっていて、胸のときめきを感じた。これは、これまでの『逆転』シリーズにはあまり描かれなかった要素だが、個人的にはとても胸がキュンとなった。ムズキュン。

 つぎに、以前から公式サイトで収録風景が公開されていた、タップダンス。ゲームをプレイしながら、いつ出るんだろう、いつ出るんだろうと気に留めながらプレイしていたのだけれども、まさかここで! というような場面で登場する。詳細はプレイ時の楽しみのために伏せるが、とにかくめちゃくちゃ格好いいので、ぜひゲーム中で確認してほしい。これらの、3Dのキャラクターが小気味よく動くイベントシーンや、“共同推理”でのドラマティックな演出がパワーアップしている点も、本作の注目点だ。

 最後に、唯一本作に残念だったところがあるとすれば、メイドさんが出てこないところ。前作『冒險』には出てきていたのに、どうして『大逆転2』には! どうして出てこないのか……! それでなくてもイギリス+19世紀末といったら、メイドでしょう! ……ねえ!?(個人の感想です)。

 ……最後はすこし脱線してしまった。全部台無し感がないでもないが、ここまで語ってきたように『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』は、とてもおもしろいアドベンチャーゲームである。『冒險』で語られた《謎》がダイナミックに氷解していく爽快感は格別で、これは、本作を待ち続けた2年間があったからこそとも言えるかもしれない。前作を遊んだ方にはぜひこの快感を味わってほしいし、前作を遊んでいない方にも、この機会に『大逆転裁判1&2 限定版 -成歩堂龍ノ介の冒險と覺悟-』などで、あわせて楽しんでいただきたい。

 あ、そうだ。本作と同日に発売された週刊ファミ通2017年8月17日号(2017年8月3日発売)には、本作『大逆転裁判2 -成歩堂龍ノ介の覺悟-』の発売記念特集記事が掲載されており、開発者インタビューや興味深い記事が満載なので、よければそちらもご注目いただけるとうれしい。

最終更新:8/3(木) 18:13
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