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奄美の世界遺産視野に検討委 大和村でクロウサギ施設整備計画

8/3(木) 13:00配信

南海日日新聞

 国の特別天然記念物アマミノクロウサギを飼育して観察する施設の整備を目指し、鹿児島県奄美大島の大和(やまと)村は2日、島内外の有識者らで構成する準備検討委員会(委員長・泉有智副村長、委員8人)の会合を村役場で開いた。奄美・沖縄の世界自然遺産登録後の観光客の増加を視野に、生息環境の悪化やロードキルによる被害を軽減して保護を図る目的。委員から観光利用に加えて、傷病個体の治療や繁殖技術の確立に向けた研究、子どもたちの環境教育など施設が担う役割や方針をめぐってさまざまな意見や要望があった。

 アマミノクロウサギは奄美大島、徳之島だけに分布する。推定生息数は奄美大島2千~4800匹、徳之島約200匹。環境省のレッドリストで近い将来に絶滅の危険性が高いとされ、種の保存法で捕獲を禁止する国内希少野生動植物種に指定されている。

 事務局の村総務企画課によると、文部省(現文部科学省)が1962年に実施したアマミノクロウサギの調査の結果、奄美大島、徳之島の推定生息数が計500匹と少なく、絶滅の恐れがあることから、保護に向けた地元での研究の必要性が指摘された。

 同村の大和中学校で63~91年、同省の許可を受けて山中で捕獲したクロウサギの飼育が行われ、最大で雌雄2組、計4匹を飼っていた。幼獣の誕生も計3回確認され、最長で18年間にわたって生存し続けた個体もいた。クロウサギは一般公開され、多くの観光客が同校を訪れたという。

 これまでに自治体でクロウサギを飼育したことがあるのは同村のみ。村は2009年度、新たに飼育の可能性を探る同委員会を役場幹部らで設立。世界自然遺産登録を視野に、同日は研究者や獣医師ら外部の有識者を新たに委嘱し、初会合を開いた。

 会合で伊集院幼村長は「奄美の自然、生き物を全国、世界に発信する機会としたい」とあいさつした。
 協議では委員から、施設の整備、運用に向けた長期的な計画の策定や財源の確保、環境省や他市町村との連携などさまざまな助言や提案があり、「世界自然遺産になれば予想以上に自然破壊が起きるかもしれない。疾病やロードキルも増える。あまり時間はない」と早期の実現を求める意見があった。

 同委員会では本年度内に施設整備の方向性を決める方針。

奄美の南海日日新聞

最終更新:8/3(木) 13:00
南海日日新聞