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内閣改造、「お友達」「右翼色」払拭狙う

8/3(木) 18:50配信

ニュースソクラ

スキャンダル乗り切れれば、支持率アップも?

 安倍首相は3日午前に党主要役員人事を決定、午後には内閣改造を実施する。前日のうちに内閣・党人事をすべて事実上公表し、発足直後の閣僚の失言を避ける万全の体制をとったが、すでにスキャンダルのうわさも飛び出している。

 麻生太郎財務相、菅義維官房長官、二階俊博幹事長が留任するなど「骨格」は変えなかったが、刷新感をかもし出すことには成功した。閣僚のスキャンダルをコントロールできれば、支持率の低下に歯止めがかかる可能性は高い。

 今回の人事の最大の特徴は、個人的に親しい側近を重用する「お友達内閣」「右翼内閣」のイメージ払拭に努めたことだ。

 アンチ安倍の最大の震源地になっていた野田毅、村上誠一郎氏らによる「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」からは野田聖子氏を総務相に取り込んだ。そのほか、外務大臣に河野太郎氏、文部科学大臣に林芳正氏を配置してリベラル色の強いひとを要所においた。首相外交の役割が高まり、活躍しずらい外務大臣に封じ込めていた岸田氏を自民党政務調査会長に据えたのも「リベラル色」を意識した対応だ。

 これは自民党内リベラルの代表格だった谷垣禎一氏を幹事長に起用したときの成功例に倣ったもの。だが、村上誠一郎氏のような反安倍の急先鋒の登用は避けている。コントロール可能な「アンチ安倍」「リベラル」を閣内に取り込んだと言うこともできるだろう。

 右翼色の強かった高市早苗総務相や稲田朋美防衛相(7月28日に前倒しで辞任)を交代させて、「右翼政権」のイメージ払拭に努めている。ただ、萩生田光一官房副長官を自民党幹事長代行に横すべりさせるなど、右翼、お友達が一掃されたとはいえない点は弱点だ。

 問題だらけだった防衛大臣に小野寺五典氏をつけた点などは、「実務家」を配置した印象づくりにも成功しそう。小野寺氏は答弁のうまさでは歴代防衛相のなかでも1,2位を争う人といわれている。加計、森友問題でいまや政局の焦点になっている文部科学相に、距離があった林氏を当てているのも、隠蔽などの不信感を払拭するために「実務家」肌の人材を配置したと言えるだろう。一時、浮上していた人気取りのためのタレント議員の登用を見送っているのも上滑り感を出さずに済んだといえるだろう。

 気になる点は法務大臣と国家公安委員長に菅官房長官の「直系」といえる上川陽子氏と小此木八郎氏が就いたことだ。検察、警察という「ネガティブ情報のコントロール力」の高い役所を菅氏が「直轄」する構図はさらに強まっている。森友学園の捜査が進行中なだけにポイントといえる。

 やはり菅氏との関係が濃い梶山弘志氏が地方創生担当相(規制改革も担当)に就いた点も含め、威信低下が著しいとも言われた菅官房長官だが、人事発言力は衰えていない。

 内閣改造の最大の弱点は、いつものことながら新閣僚のスキャンダルだ。すでに主要閣僚の問題写真が週刊誌に持ち込まれているといわれる。これから1週間はこれを乗り切れるかどうかが最大のポイントになる。

■土屋直也(つちや・なおや) ニュースソクラ編集長
日本経済新聞社でロンドンとニューヨークの特派員を経験。NY時代には2001年9月11日の同時多発テロに遭遇。日本では主にバブル後の金融システム問題を日銀クラブキャップとして担当。バブル崩壊の起点となった1991年の損失補てん問題で「損失補てん先リスト」をスクープし、新聞協会賞を受賞。2014年、日本経済新聞社を退職、ニュースソクラを創設

最終更新:8/3(木) 18:50
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