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高野連は球児を裁くべきでない。“部外者”が教育に口を出す愚

8/3(木) 12:00配信

VICTORY

教育に口を出す高野連という“部外者”

残念なことに、高校球児が絡む不祥事がたびたび報じられます。しかし、そこで日本高等学校野球連盟(以下、高野連)が「処分」を下すことに、どれほどの正当性があるでしょうか。本来、子どもの教育は親と学校、部活の指導者が責任を負うべきことでは?(文=大島和人)

「高校野球は不祥事が多い」。おそらく、そう思っているスポーツファンは多い。野球は競技人口が多いスポーツで、一定割合で異常な行動をする選手もいるだろう。逞しい体格と丸刈りという風貌には、ある種の威圧感もある。また日本学生野球憲章は様々な規制があり、悪意はなくとも「うっかり」そこに抵触してしまう関係者は多い。

ただし、高校野球の選手や監督と取材などで接して、異常な印象を受けたことはない。

話はシンプルだ。日本高等学校野球連盟(高野連)がメディアを通じて丁寧に発表するから、一般社会がそういう錯覚を持っている。高校野球はチームや選手の不祥事を中央集権的に処理して公表する仕組みを持つ。高野連の「審査室」で審議が行われ、毎月そこで処分が確定される。どの学校に、どういう理由で、どれくらいの処分が下されたかという概要も発表される。

よくよく考えるとこれは不思議だ。そもそも子供の教育は親と学校、部活の指導者が責任を負うべきこと。第三者が口を出すべきでない。人の失態が晒される様子を観察することは大衆的な”娯楽”かもしれないが、教育性はない。

もちろん、「悪事を見逃すべき」と言っているのではないし、成人の教員や指導者ならまた話は違う。しかし高校球児は未成年で、刑事事件ならば警察、司法が内密に処理するべきだ。法に触れないレベルの問題行動ならば親、学校サイドが指導をすればいい。学校や部が自発的に「活動を慎む」「チームごと公式戦を辞退する」ことでより良い教育効果を得られると判断するならば、その見識は尊重されるべきだ。

そこに部外者が口を出すから余計な手間がかかるし、現場も委縮する。高野連では「注意・厳重注意および処分申請等に関する規則」を定めている。学生野球憲章に違反する事実があり、注意・厳重注意が必要と考えられるときは、校長が各都道府県の高野連に下記の内容を報告するというプロセスになっている。

(1)校長が認定した事実
(2)関係者の弁明の内容
(3)校長がとった措置
(4)校長の所見およびその他審議に関する必要な事項
(5)当該事案に関する新聞報道記事の写しなど関連資料

審査室で処分が決定すると加盟校名(指導者ならば役職)が公表される。注意・厳重注意に止まった場合は公表されない。報告が遅れた場合や、高野連に対してその事実を隠した場合は、どうしても処分が重くなるという“圧力”を無視できない。

メディアという“権力”を背負っているとはいえ、一財団法人がこのような作業を校長に強いていること自体が不可解だ。昨今の日本社会は他人の行動に口を出す”お節介化”が顕著だが、高野連はそんな時流の先駆者かもしれない。

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最終更新:8/3(木) 12:00
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