ここから本文です

ティラーソン米国務長官、「米国は北朝鮮の敵ではない」宥和ジェスチャーの訳は

8/3(木) 6:54配信

ハンギョレ新聞

米、対北朝鮮強硬論の中、対話メッセージ 「政権交替の意図はない」と表明したが 「非核化が目標」対話条件は変わらず 朝鮮半島緊張高調の状況管理と 対北朝鮮メッセージの内部混線遮断に出たか 中国の協力引き出し戦略という分析も

 北朝鮮の二度にわたる大陸間弾道ミサイル(ICBM)試験発射以後、朝鮮半島の緊張指数が高まるなかで、米国の外交政策首長が北朝鮮との対話の門を開けてあるという点を公開的に明らかにした。状況管理と内部メッセージの混線を整理するのが一次的な目的と見られるが、来週フィリピンのマニラで開かれる「ASEAN地域安保フォーラム」(ARF)に北朝鮮と米国の外交長官が揃って参加するという点で注目を集めている。

 レックス・ティラーソン米国務長官は1日(現地時間)、ワシントンの国務省庁舎で開いた記者会見を通じて「ある時点に北朝鮮と向かい合って座り、北朝鮮が追求する安保と経済的繁栄を提供する未来について対話したい」と述べた。ティラーソン長官は「私たちは北朝鮮の敵ではない。私たちは北朝鮮にとって脅威ではない」として、このように明らかにした。

 ティラーソン長官は「私たちは(北朝鮮の)政権交替や崩壊、朝鮮半島における統一の加速化を追求せず、38度線の北側に米軍を送るための口実も探していない」と強調した。ティラーソン長官はこのような「4原則」を5月3日、国務省職員を対象にした演説でも明らかにした。

 彼は「米国は(北朝鮮問題と関連して)引き続き攻勢強化を主導してきた。私はこれを『平和的圧迫』と呼びたい。私たちに許された選択肢は限られているため」とし「軍事行動」ではなく対北朝鮮制裁に焦点を合わせている理由を説明した。

 彼は「現在の北朝鮮の状況について中国を非難しない」とし、中国に北朝鮮に対する影響力の行使を促したのは「生産的対話ができる条件を作るため」だと強調した。彼は「核兵器を維持するという前提で北朝鮮が対話のテーブルに出てくるのは生産的ではないと考える」として、北朝鮮との対話は「非核化を目標にしたもの」でなければならないという立場を再確認した。

 就任から6カ月をむかえたティラーソン長官のこの日の記者会見は、当初国務省が公開した日程にはなかった。彼は定例ブリーフィングに突然登場した。マスコミへの露出を敬遠することで有名なティラーソン長官が、腹を括って言うべきことがあったという意味だ。

 ティラーソン長官の発言は、トランプ行政府が対北朝鮮政策を確定して発表した4月末~5月初めの基調とほとんど同じだ。とはいえ北朝鮮の二度にわたるICBM試験発射と米国内部で北朝鮮に対する強硬意見が台頭する状況で、彼が対話のメッセージを投げたということは少なくない意味が込められている。

 第一に、北朝鮮のミサイル試験発射とこれに対応した韓米の武力示威などで緊張が高まっている局面を、これ以上放置すれば偶発的衝突の可能性まであるという憂慮を示したと見られる。特に北朝鮮のICBM試験発射以後にも、北朝鮮の潜水艦の特異動向が観察されるという報道が出て、北朝鮮がまた緊張を高める行動に出る可能性が提起されているため、状況を落ち着かせる必要性があるためと判断できる。

 第二に、トランプ行政府から北朝鮮政権交替論や先制攻撃の可能性などと解釈されうる発言が意図の有無にかかわらず発信され、国務省の主導でメッセージ管理をする意志を込めたと見られる。

 第三に、中国に対する強硬発言を最大限控えているが、これは国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議案を議論している状況で、軋轢よりは融和的なジェスチャーで中国の協力を引き出そうという戦略と解説される。

 ティラーソン長官の発言が、新たな局面創出の呼び水になるかどうかはもう少し見守らなければならないと見られる。ティラーソン長官が北朝鮮のICBM発射から5日後に速かに異例の対話意志を表明した点は肯定的だ。来週のASEAN地域安保フォーラムに北朝鮮のリ・ヨンホ外相も参加するという点で、朝米の外交長官間が会う可能性も排除できない。

 また、米国の主要メディアが北朝鮮と米国の直接対話を促している点も国務省を後押ししている。ニューヨーク・タイムズは1日付社説で「トランプは代理人(中国)によってはこの危機を解決できないという現実を直視する必要がある」として「トランプは見えすいた脅しを中断し、ティラーソン長官、もしくは別の高位級特使を平壌(ピョンヤン)に派遣して、交渉のための土台の有無を探索しなければならない」と主張した。同紙は特に「対話は前提を置かずに始めなければならない」と強調した。

 ワシントン・ポスト紙のコラムニスト、デヴィッド・イグネイシャス氏も同日「トランプは中国に圧力を加重させているが、静かに外交的解決策を主導しろと促さなければならない」として、中国との葛藤よりは協力を注文した。

 だが、ホワイトハウスのサラ・サンダース報道官はこの日、ティラーソン長官の記者会見直後に開かれたホワイトハウス定例ブリーフィングで「北朝鮮の核プログラムとミサイル挑発を止めさせるため、私たちはすべてのオプションをテーブルの上にのせている」と話すなど、依然としてメッセージが整理されていない状況が見られる。国務省とホワイトハウスは「それぞれ違う方向を向いている」という観測はかなり以前からワシントンの外交街で飛び交っている。

 また、北朝鮮に対する最大の圧迫から関与(交渉)に至る連結の輪を、韓国と米国政府がどこまで柔軟に設定するかも今後の情勢の重要な変数だ。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )